●10日はソヒエフ&トゥールーズ・キャピトル管弦楽団へ(サントリーホール)。ベルリオーズの序曲「ローマの謝肉祭」、サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番(諏訪内晶子)、ベルリオーズ「幻想交響曲」というプログラム。先に開かれた横浜公演での「シェエラザード」他の評判がずいぶん盛り上がっていたけど、こちらもお客さん大熱狂、ソヒエフの一般参賀付きの名演になった。昨年の仏フィガロ紙での「フランスのオーケストラ通信簿」っていう記事で、最優秀オケとしてパリ・オペラ座管弦楽団、パリ管弦楽団、そしてこのトゥールーズ・キャピトル管弦楽団の3つが挙げられていて、フランスの地方オケが選ばれるとはよっぽど目覚しい躍進ぶりなんだろうなあとは思っていたけど、さすがにそれだけのことはあるというか。意欲と勢いがあって、明るく鮮やかな音色を持つオーケストラ。特に弦は強力。ただでさえソヒエフの作る音楽が濃厚な上に、アンコールにビゼー「カルメン」第3幕間奏曲、レオンカヴァッロ「道化師」間奏曲(これがよかった)、「カルメン」第1幕前奏曲でお腹いっぱい。
●後半以降が強烈すぎて前半の印象が霞むけど、サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番を聴けたのは貴重かも。この曲、古今の「名曲リスト」的なものにはよく載ってるけど、その割にあまり実演では取り上げられないのでは? 第2楽章の終盤、オーボエの甘美な旋律に続いて、ハーモニクスでアルペジオを演奏する独奏ヴァイオリンにぴたりとクラリネットが影のように寄り添って、森厳で幻想的な音色を作り出す(なにかの鳥の鳴き声なんすかね?)。録音じゃピンと来てなかったけど、あのヴァイオリンとクラリネットの奥行き感がこだまみたいでおもしろい。
December 12, 2012