January 10, 2013

OEKニューイヤー・コンサート、大野和士&読響、「アルプス交響曲」山脈

●9日は紀尾井ホールで、井上道義指揮オーケストラ・アンサンブル金沢のニューイヤー・コンサート。シュトラウス・ファミリーの音楽は最小限にして、前半をコルンゴルト中心で、後半はオペレッタの名曲を並べるという工夫された選曲が吉(中嶋彰子S、吉田浩之T)。特にコルンゴルトは、ツェムリンスキーがオーケストレーションを施した11歳の作品であるバレエ「雪だるま」序曲、ヴァイオリン協奏曲の第2楽章(この日のコンサートマスター、サイモン・ブレンディスが独奏)、オペラ「死の都」の「マリエッタの歌」、そして「シュトラウシアーナ」と演奏されて、まとめてコルンゴルトを聴ける上に、ちゃんと「ニューイヤー」の雰囲気も保たれているという絶妙の趣向。オペレッタ中心の後半は寸劇?やトークなどの演出がさしはさまれて、一部日本語歌詞も用いながら昭和ノスタルジア風味の別世界へとトリップ。
シュトラウス●今年最初の演奏会は8日の池袋・芸術劇場での大野和士&読響。前半にラフマニノフのピアノ協奏曲第3番(ピアノは小山実稚恵さん。冒頭、びっくりするくらいの弱音で入った)、後半にR・シュトラウスのアルプス交響曲。お正月に山で日の出を拝む気分で、芸劇のエスカレーターを上る。これが改修前だったら両側鋭く切り立った尾根を行く気分になっただろうが、今は壁に沿って安全登山。しかし基本、冬山は危険。絢爛たるスペクタクルを求めてはいけない。けれんみのないシュトラウス。
●昨秋、同じシュトラウス「家庭交響曲」が東響とN響で連続したけど、今年の東京は「アルプス交響曲」イヤー。この後、メッツマッハー&新日本フィルが今週の金土でとりあげる。さらに3月に上岡敏之&日本フィル、6月にフルシャ&都響、10月にノット&東響も演奏するというシュトラウス山脈が続く。健脚を誇る方は全部制覇してみては?

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