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January 28, 2013

ラザレフ&日フィルのラフマニノフ・シリーズ、セゲルスタム&読響の「ヒッグス粒子」&シベリウス

ラフマニノフ●25日(金)はラザレフ指揮日本フィルのラフマニノフ・プロへ(サントリーホール)。前半にピアノ協奏曲第2番(ハオチェン・チャン独奏)、後半に交響曲第3番。全席完売の人気ぶり。ハオチェン・チャンは2009年のヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールで辻井伸行と同時優勝を果たした若い奏者。テクニックは鮮烈、華奢な外見に反して大きな音楽を作ろうとしているのが冒頭から伝わってきた。後ろからのエネルギッシュな響きの奔流に飲み込まれそうになりつつも爽快に弾き切って場内は盛大なブラボー。交響曲第3番は期待にたがわぬ鍛えられた快演。ていねいで、なおかつ熱い。ラザレフのカリスマは健在。例によって指揮しながら客席側に向いて「お客さん、どうですかぁ~!!」的に見得を切りながら(?)そのまま一回転してオケに向き直るという「回転ドヤ」技も披露。
●ラフマニノフの交響曲第3番、最近一年間でノセダ&N響、ブラビンス&名古屋フィル(これは出張)に続いて3回も聴くことができた。しかもどれもいい演奏ばかり。たまたまラフ3イヤー。
●26日(土)午後、芸劇でセゲルスタム(セーゲルスタム)&読売日本交響楽団。R.シュトラウスの交響詩「死と変容」、セゲルスタム自作の交響曲第252番「ヒッグス粒子に乗って惑星ケプラー22bへ」(世界初演)、シベリウスの交響曲第2番。得意のシベリウスも先日のマーラー同様濃厚ですばらしかったが、目を引くのは自作自演。交響曲第252番というハイドンも尻尾を巻く量産力に加えて、「ヒッグス粒子に乗って惑星ケプラー22bへ」っすよ! つい最近「ヒッグス粒子の発見」が大ニュースになったけど、これってそのひとつ前のタイミングで書かれてるんすよね。2011年12月に「どうやらヒッグス粒子が発見できそうかも!」ってCERNが記者会見開いたことがあったはず。で、たまたまその直前にNASAが生命居住が可能かもしれない系外惑星として「ケプラー22b」を確認したっていうニュースが流れた。両者になんの関係もないけど、物理学上の大きなトピックスが続いたので、「おっしゃー、次はこれだ!」と作曲家が触発されたのだろうと推測。
●で、曲は弦楽器群の両側にそれぞれピアノを置いて下手側をセゲルスタムが演奏、木管楽器はピッコロからコントラファゴットまで各一本ずつの変則編成、これに金管楽器とハンマーやらミュージカルソーやらサンダーシートやらおもちゃ箱状態の多彩な打楽器群が加わる。指揮者は置かず。曲名から、格闘ゲーでジャイアントスウィングとかスクリューパイルドライバーとか大技しか狙ってない山っ気ファイターみたいな先入観を抱きがちであるが(なんじゃその形容は)、思ったほど色物ではなくて、混沌とした響きの雲海をたゆたいつつ、ソロや即興が彩りを加えて変容してゆくという豊潤な作品。ハンマーがなんども打ち込む鋭い楔は強烈。曲名には概念として並列させようのないもの2つが挙がってるけど、片や微視的な発見、片や巨視的な発見ということで、そのスケールの対比を強調している、とでも。
セゲルスタム作品リスト。現在交響曲第261番まで進行中。70番代のネーミングが好き。第70番が"Before 80..."、71番が"After 70..."、73番は"1 after 72..."、74番が"2nd after 72..."、75番が"3rd after 72..."、76番が"4th after 72..."って。80番は"Before Ninety..."だし、81番は"After Eighty..."だ。第103番の"102 to 104..."も寡黙で味わい深い。かと思えば、第228番は饒舌で "Cooling my beard too (2) on "Sval"bard, "Spit"sbergen farewelling (on the "seal"ed waters) the blinding "spittingly" ice- (& eyes) cracking Sun (setstart on 22.8...!) with my Son (J. S.) remembering nostalgically "lace"- (spets-) coverings of (e.g.) Venusmountains as well as all those got... (lays...) - It is very windy on the tops, "the picked peaks for peeking into the ∞s...", "spets"-listening too... 2... 8!" というタイトルになっている。どう訳すんだろう。
●最終的には交響曲第512番「そして伝説へ……」くらいまで行きそうな気がする。