●20日はふたたび準・メルクル&N響へ(サントリーホール)。リストの交響詩「レ・プレリュード」、ピアノ協奏曲第1番(ヘルベルト・シュフ)、サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」。リストで始まり、リストの思い出に捧げられたサン=サーンス作品へとつながるプログラム。シュフははじめて聴くピアニスト。フィジカルで押すタイプではなく詩情豊かなリスト。録音でもなにか聴いておこうかと思ってネットを見たら、ラッヘンマン+シューベルトとか、ウルマン+ベートーヴェンとか、OEHMS等からおもしろそうなものがいくつか。Schuchって書いてシュフだったのね……。なんか覚えにくい名前だなあと思うが、とりあえずIMEは「主婦」って出してくるので、それで覚える。
●後半、サン=サーンスの「オルガン付き」は爽快。オケがすっかり掃除されたかのように響きが美しい。サントリーでもいつでもこうはいかない、というか、なかなかないのでは。
●この曲ってフランスの「運命」っすよね。暗から明、苦闘から勝利へ、ハ短調からハ長調へ。スケルツォからフィナーレへ突入する感じも。ベートーヴェンがトロンボーンとピッコロで敢行した管弦楽法の拡大を、オルガンと連弾ピアノで果たしている。これで交響曲第3番ではなく第5番だったらなおよかったのに。
●しかし「オルガン付き」はオルガンも必要だし、ピアニストが2人も必要なのがやたらリソースを消費する感じでもあるので、オルガンのないホール、予算の少ないオケでも演奏できる省エネ版があってもいいかもしれない。オルガンなしの交響曲第3b番「オルガンなし」。あるいはオルガンなしでなおかつ連弾ピアノも入らない交響曲第3c番「オルガンなし、ピアノなし」。案外、交響曲第3d番「オルガンあり、ピアノなし」の需要もあるかもしれない。牛丼の「つゆダクねぎ抜き」みたいな。
February 21, 2013