●28日、復活したミューザ川崎で「フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2013」記者発表会。写真左よりピアニストでホールアドバイザーも務める小川典子さん、東京交響楽団音楽監督ユベール・スダーン、阿部孝夫川崎市長。ほかに日本オーケストラ連盟事務局長の吉井實行さん、東響楽団長の大野順二さんも登壇。
●震災によるミューザ川崎シンフォニーホールの天井崩落にともない「フェスタ サマーミューザ」は昨年まで2年間、川崎の各地のホールで分散開催されていたが、いよいよ今年はミューザに帰ってくる(7/28~8/11)。音楽祭の企画内容はこれまでと同様、首都圏の9つのオーケストラがそれぞれミューザ川崎で公演を開くというもので、通常のフルサイズの公演もあれば、休憩なしの70分のコンサートもあり、夜の公演もあれば平日昼の公演もあるということで、「お好きなものをどうぞ」というのがこの音楽祭のスタイル。オープニングコンサートとフィナーレコンサートはホスト・オーケストラとでも呼ぶべき東響が出演する。
●また、今回は「出張サマーミューザ@しんゆり!」として、テアトロ・ジーリオ・ショウワで神奈川フィルと東響の公演も開かれる。せっかく去年まで2年間、各所で公演があったのが、ぜんぶミューザに戻って何もなくなってしまうのも寂しいということか。
●オープニング・コンサートを振るスダーンは、ふたたびミューザ川崎で公演を開催できることについての喜びと感謝を述べ、また東響での音楽監督時代を振り返り、「10年前から音楽監督を務めて今年で最後になるが、私の音楽人生のなかでももっとも美しい10年間だった」と語った。
●記者発表会の後、希望者はホールで行われている東響のリハーサルを見学できるということなので、中に入れさせてもらった。3/31の名曲全集(本番は川崎市教育文化会館)のリハで三ツ橋敬子さんがベルリオーズの幻想交響曲を振っていた。まるで何事もなかったかのようにホールは復活している。思わず天井を見上げるが、もちろん傷跡もなにもない。お客さんが入っていないのでホールの響きについてはリニューアルオープン後にまた確かめることになるだろうけど、震災直後の無残な写真がウソのように思えるほど、きれいに以前のホールが再現されていた。
2013年3月アーカイブ
「フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2013」記者発表
DGのベルリン・フィル50枚ボックスをキュレートしよう
●ドイツ・グラモフォンのサイトの「ベルリン・フィル50枚ボックスをキュレートしよう」という企画が楽しい。ベルリン・フィルの過去の音源からユーザーがオススメしたい音源20個を投票するというもので、一部はサンプルの音源も聴けるようになっている。1910年代や20年代の古い音源が並んでいると、改めて歴史の重みを感じる。「録音芸術」はもう100年もの歴史を持つのだなあ。
●おもしろいのはただ20個を選ぶのではなく、1910年~20年代は2つ、30年代は1つ、50年代は4つ……と時代によって選ぶ音源の数が決まっていること。これはDG側で用意した選択肢の数に応じているのだろうけど、50年代と60年代が各4つで一番多く、70年代と80年代は各3つ、90年代は2つ、2000年代は1つと徐々に減ってゆく。ラトル時代は大半がEMIの録音だから2000年代の録音が少ないのはしょうがない。ドゥダメル指揮の「ツァラトゥストラ」が選択肢に入っているんだけど、これはこれから出るの? 投票にはDGのアカウント登録が必要だが、Facebookアカウントでもログイン可能。
●投票者から抽選でベルリン・フィルをペアーで聴くツアーを旅費・宿泊費込でプレゼント。また、ベルリン・フィル・デジタル・コンサートホールの48時間無料バウチャーも配布されていて、こちらは投票しなくてもニュースレターの購読に同意すればゲットできる模様。
●「キュレートする」っていう日本語はもう定着しているんすかね。
ヨルダンvsニッポン@2014年ワールドカップ アジア最終予選
●なんと、負けてしまったんである。引分けでも世界最速でW杯出場を決めることができた、ヨルダン戦。試合開始前の予想では、ワタシはいつになく楽観的な気分で、「アウェイのヨルダンは手強い相手なのはわかっちゃいるけど、4-1くらいの試合になって、後半途中からはお客さんもあきらめてぞろぞろ帰り出すだろう」と思っていたら。ったく、サッカーってのは。
●本田不在の先発陣は予想通り。長友もケガなので両サイドバックが右に内田、左に酒井高徳。GK:川島-DF:内田、吉田、今野、酒井高徳(→駒野)-MF:遠藤、長谷部-岡崎、香川、清武(→乾)-FW:前田(→ハーフナー)。揺れながらボールが転がるデコボコのピッチ、まるでバレーボールのようにボールが弾む固いピッチ、プレースキックで観客席から日本の選手の目を狙って照射される緑色の光線、時計がないスタジアムなど、相変わらずアジアの戦いアウェイ篇は技術や戦術、体力とは無関係の非競技的な戦いが待ち構えているのだが、そんな悪条件をはねのけて、ニッポンはパスを回し、選手を走らせ、ボールを支配し続けた。開始早々からヨルダンのラインは間延びしていて、選手間の距離が広がっていたため、楽にボールを持てる展開に。これは5対3くらいの緩い試合になるのではと思ったが、チャンスの山を築くばかりでゴールが決まらない。きれいな形は作ってるんだけど、シュートまでに至らず。たまに打つとキーパーの正面。アウェイでこんなに好き放題に攻めれるのもスゴいが、これでゴールできないとは。
●失点は前半終了間際の最悪のタイミング。コーナーキックで中央で岡崎がバニアテヤに前に体を入れられて、ヘディングを許してしまった。岡崎はチャンスに決められないばかりか失点にも絡んでしまった。決して出来は悪くなかったんだけど。後半15分の2失点目は酒井高徳のミスから。左サイドから攻め込もうとしたところでボールを奪われショートカウンターをくらう。ハイルのスピードに乗ったドリブルに対して吉田が完璧に振り切られて、キーパーと一対一に。ポゼッション・サッカーでいちばん悲しい失点パターン。ニッポンのゴールは後半24分、旧セレッソ・コンビで。清武がアウトのパスを縦に出したらドンピシャで香川がディフェンスラインの裏に走りこんでいるという神連携。
●内田がペナルティエリア内でファウルを誘ってPKをもらい、遠藤のPKで追いつくチャンスもあったが、右隅に狙って蹴りこんだボールをキーパーのシャフィがはじき出した。そこにボールが来ると山を張って飛ばなきゃ絶対に止められないコースだったが。研究していたのか、運だったのか。遠藤はコロコロPKをもう蹴らないんすかね。前田に代わって入ったハーフナーは珍しく機能していた。マリノス時代からハーフナーは実はハイボールの競り合いに弱い(苦笑)という印象を持っていたんだけど、この試合ではポストになってボールを落とす役割をしっかりこなしていた。他の選手がゴールに蹴りこめなかっただけ。香川はマンチェスター・ユナイテッドでも見せる、バレリーナのようなエレガントな動きをゴール前で披露していたが、相手への脅威にはならず。香川に限らず、攻撃陣は優雅すぎたか。
●試合はヨルダン 2-1 ニッポンで終了。ヨルダンが勝点3もゲットしたおかげでグループB最下位から2位に浮上。ヨルダン以外の国から見れば最悪の波乱が起きた。オーストラリアはホームでオマーンに手痛いドロー。負けたのにニッポンが依然大差でトップにいるのも感心する。今回の最終予選、ニッポンは先行逃げ切り型のプランを描いたスケジュールになっていて、おおむね後にいくほど厳しい戦いになる。このアウェイのヨルダン戦に続いて、残るはホームのオーストラリア戦、そしてアウェイのイラク戦。しかし心配はないだろう。
●正直言えば、もうニッポンのワールドカップ出場は決まったようなもの。というのはニッポンは勝点13。このまま最後まで連敗し続けたとしても13だ。2位ヨルダンが残りを2連勝して7からやっと13に追いつく。3位オーストラリアは残り3試合あるがそのうち1試合はヨルダン戦。ここでヨルダンが勝つと仮定しているわけだから、オーストラリアは最大で2勝1敗、勝点6をつみあげて12。ニッポンには追いつけない。「あれ、じゃあニッポンの2位以上は確定したのでは?」と一瞬思うが、実は最下位のイラクが3試合を残しているので、3連勝(相手はオマーン、ニッポン、オーストラリア)した場合のみ、5から14に積み上げて、ニッポンを追い越す。この場合1位はイラク、2位ヨルダン。別のパターンとして、ヨルダンが連勝できなかった場合を考えると、オーストラリアが2勝1分なら13でニッポンと並び、3連勝なら15で追い抜く。3連勝してくれれば、途中でイラク戦を含むので、イラクは最大2勝1敗で勝点11にしか到達しないので、ニッポンのW杯出場が決まる。オーストラリアが2勝1分で、その1分がイラク相手だった場合はどうなるか。イラクは最大2勝1分、勝点12でやはりニッポンには追いつけないので、ニッポンのW杯出場が決まる。つまり、ニッポンが2位以上を確保できないのは、ヨルダンが2連勝し(なおかつ得失点でニッポンを上回り)、イラクが3連勝して中東ワンツーフィニッシュになった場合のみ(しかもその場合ですらニッポンは3位でプレーオフに進出できる)。たとえ負け続けてもニッポンは高い可能性で出場できる。もし最終予選で3連敗してW杯に出場を決めたら、それはそれで伝説になるかもしれない。
校正
●どんなところに書く原稿であれ、世に出る前には校正・校閲といったプロセスを経る。日本語表現に誤りや不自然なところがないか、原稿の内容に基本的なまちがいがないかどうか。校正・校閲のプロが中身をチェックする場合もあれば、担当編集者/依頼主のみが読む場合もある。著者の側も普通は校正紙(といっても今はPDFだ)を読む。
●しかし、自分で自分の誤りを見つけるのは難しい。他人の原稿のまちがいは一瞬でわかっても、自分のまちがいはなかなかわからない。特に「思いこみ」によるまちがいは、どんなに明白なものでも正せない。ハイドンのことをモーツァルトと書くとか、リコーダーをフルートと書くとか、それくらい豪快なまちがいであっても、目は素通りする。自信を持って言うが、これはワタシだけではなく、みんなそう。仕事がていねいか杜撰かという問題ではない。一字一句ていねいに読んでも気づかないくらい思いこみは怖い。他人の目が命綱。2013年が2012年になっていたとか、「ローエングリン」が「タンホイザー」になっていたとかを、他人の目は的確に発見してくれる。
●ただし、例外的に自分で自分の誤りを瞬時に見つけることができるケースがある。それは刷りあがったものを読むとき。ぜんぶ終わった後なら、書き手の校正能力は神のレベルに到達する。
ニッポン代表vsカナダ代表@ドーハ親善試合
●26日のワールドカップ最終予選ヨルダン戦を前に、ドーハでカナダ代表との練習試合。最終予選自体が予想外に順調に進んでいるので、この調整試合にピリピリした気分にはならない。わざわざドーハみたいな第三国にカナダ代表を呼べるのがスゴい、ニッポンは。日本で試合するのと違って入場料を集金できないので、全部協会の持ち出しになるんすかね。
●で、本田や長友、今野といった主力が戦列を離れているなか、ザッケローニが組んだメンバーはこう。GK:川島-DF:内田(→駒野)、伊野波(→栗原)、吉田、酒井高徳(→酒井宏樹)-MF:遠藤、長谷部-乾(大津)、香川、岡崎(→中村憲剛)-FW:前田(→ハーフナー)。本田がいない、清武が足に違和感ということで乾が先発。攻撃のタレントはセンターフォワード以外はホントに豊富。ハーフナーはゴールを決めたがほかに決定機で少なくとも2度はずしている。長所と短所がはっきりしているので、先発には使いづらいかわりにメンバーには残したいタイプ、本大会のメンバーに残る可能性はむしろ前田より高いだろう……って、まだ出場は決まってないんだってば!
●気になる長友の代役は酒井高徳。右サイドバックという認識だったけど、左も同じようにこなせるんだとか。右に内田。ニッポンは右サイドバックの選手がこの試合で4人も出ているわけだ。酒井高徳、内田、酒井宏樹、駒野(代表での駒野の選手寿命の長さは驚異)。左右どちらもできる選手が多くて頼もしいと思う一方で、本職が左の選手というと相変わらず長友しかいないのかという手薄さも感じなくはない。
●で、試合内容はまさに調整試合。中盤に本田がいるとみんな本田を頼りにして本田のチームになるが、香川が入った場合はそうはならない。カナダはまだまだ粗削りのチームだが、前に出てくる姿勢は見せていた。16番と13番かな、スピードのあるアフリカ系の選手が脅威。フィジカルはあるが技術は雑か。岡崎とハーフナーのゴールで2-1で勝利。
●ヨルダン戦は清武が乾に変わって入るのか? サイドバックは酒井高徳と内田のままだとするとザッケローニにしては攻撃的な選択という印象。今野がいない場合のセンターバックは伊野波にするか栗原にするか、いまだに明確な結論が出ていない感も。
オノフリ with チパンゴ・コンソート Live in Japan 2013
●20日は上野学園石橋メモリアルホールでエンリコ・オノフリ&チパンゴ・コンソート。コレッリではじまり、ヘンデル、ヴィヴァルディ、チャールズ・エイヴィソン、ヴィヴァルディ、バッハと続いて、コレッリで終わるプログラム。6日に金沢で聴いたオノフリ&OEKの共演は記念すべき第一歩、播種の音楽とすれば、こちらは毎年共演を重ねて収穫期に到達した音楽。オノフリとチパンゴ・コンソートの共鳴度がはんぱない。アンサンブルが光彩を放ちながらウネウネと高潮し、白熱した後にしばしば意表をついてふわりと着地するオノフリ節をたっぷりと堪能。生気にあふれ、弾けていた。
●最初のコレッリのソナタop5-1は、コレッリのオリジナルとジェミニアーニが編曲したコンチェルト・グロッソ版を楽章ごとに交代させるという趣向。一粒で二度おいしい。チャールズ・エイヴィソンはD・スカルラッティのソナタを編曲した協奏曲第5番。冒頭楽章はスカルラッティとは異質な音楽でこれはエイヴィソンのオリジナルらしいんだけど、続く3つの楽章はたしかにスカルラッティのソナタ。原曲の箱庭的な情趣に代わってさっぱりと開放的な楽しさが前面に出てくる。最後のコレッリの合奏協奏曲op6第4番ニ長調、おしまいのアレグロを猛烈な勢いで盛り上げて終わるんだけど、あまりの華々しさに思わず笑ってしまう。心のなかの「いいね!」ボタンをクリックしたい。
●チケットは完売。NHKのカメラが入っていて、4/29の「クラシック倶楽部」で放送されるんだとか。写真のジャケはこの日の公演に合わせてリリースされたオノフリの「悪魔のトリル」。あと、会場の物販コーナーにオノフリ・スカーフが売っていた。笑。
カンブルラン&読響のマーラー「悲劇的」
●19日、サントリーホールでカンブルラン&読響。マーラーの交響曲第6番イ短調「悲劇的」のみのプログラム。同一演目ですでに3日目だったので、すでにSNS上で絶賛されているのを目にしてから足を運ぶことになったが、期待を上回るおもしろさ。早めのテンポできびきびと前進するマーラーで、猛烈にカッコいい。響きの美しく、明快で端正、ぜんぜん悲劇的ではないところがすばらしい。第2楽章にアンダンテ、第3楽章にスケルツォの順番。ティンパニは両サイドに配置、中央にハンマー。張りつめた空気に固唾をのんでじっと聴き入る。世界が崩壊するみたいなマーラーではないので、客席の評判はどうかなと思ったら、大いに沸いた。
●カンブルラン&読響で、今までで特にスゴいなと思ったのは「ダフニスとクロエ」と「ペトルーシュカ」(もちろん聴いた限りではってことなんだけど)。それに匹敵する印象深さ。特にアンダンテがこんなに美しい音楽だったのかと目ウロコ。
●読響は少し前にセゲルスタムとド演歌みたいなマーラー5番やってたのに、カンブルランとはこんなに明るくスタイリッシュなマーラー。脱帽するしか。
サントリーホール「チェンバーミュージック・ガーデン2013」とボロメーオSQのMacBook Pro
●東京は春になると毎月音楽祭がやってくる。ちょうど先日開幕して4月半ばまで続く東京・春・音楽祭。続いて5月はもちろんラ・フォル・ジュルネ。で、6月はサントリーホールの「チェンバーミュージック・ガーデン」。ブルーローズ(小ホール)を使用する室内楽のお祭りで、今年で3年目になる。目玉企画はベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲演奏会で、今年はボロメーオ・ストリング・クァルテットが出演する。その他、オープニングコンサートの「堤剛プロデュース2013」、クァルテット・エクセルシオとサントリーホール室内楽アカデミー・フェローによる「ENJOY! ウィークエンド」など多彩な企画が並ぶ。
●で、ボロメーオ・ストリング・クァルテットのベートーヴェンなんだけど、曲の割り振り方が思い切ってる。5日間あって、最初の1日でOp18の全部、つまり第1番から第6番までを一挙に演奏しちゃう。6曲も聴けてお得だ(笑)。あと、第13番変ロ長調が4日目にも5日目にも入っている。これは4日目が差し替え終楽章が入ったバージョンで(ただし「大フーガ」は冒頭に独立した作品として演奏する)、5日目は終楽章が「大フーガ」のバージョンで演奏するという趣向。
●あとボロメーオ・ストリング・クァルテットは印刷された楽譜の代わりに、みんなでMacBook Proを使って演奏するというのがおもしろい。下の動画で実際の演奏風景が見れる(ら抜き)んだけど、USBでつながったフットスイッチを踏んで譜めくりをする(「進む」と「戻る」の2ボタンらしい)。楽譜データは単なるPDFを利用しているそうで、書き込みにはAdobe Acrobatを使用。OS等に依存しない汎用性のあるプラットフォームを利用している。
●なぜ楽譜をデジタル化するかについては、まずはスコアを見ながら演奏したいというのが出発点だったとか。ヴァイオリンのニコラス・キッチンによれば、パート譜で演奏していたころは、練習時間の多くが他人が何を弾いているのかを確かめるために費やされていたけど、4人がスコアを見れば効率的である、と。さらに「作曲家がアンサンブルに同一性を求めなかった場合でも自信が持てる」ということで、ベートーヴェンがそれぞれの楽器に異なる弾き方を要求しているときに、すぐに発見できるのが利点。さらに練習では手稿譜もデータで参照しているそう。
●画面の大きなラップトップが譜面台?にのっかているのがクールかどうかは微妙なところではあるけど、iPadやタブレットPCでは画面サイズが足りないか。
開幕3連勝と前田遼一デスゴール伝説
●ややや。申しわけない、また勝ってしまった。このチーム、有望若手に次々見捨てられ、前半35分で足が止まりそうなベテランばかりで、もうホントにダメっすよ~、とかボヤきながらの開幕3連勝、華麗に。マリノス 2-1 ジュビロ磐田。守りのチームだったはずなのに攻め勝っている謎。しかしこのまま上位にとどまれるとは露ほども思ってはいない。昨季は序盤は絶不調だが結果はまずまずだった。今季その逆にならないという理由はない。最初の数節の順位表は「運」が決めるもの。サイコロを振ったら、たまたまそんな結果が出たくらいに思っておきたい。
●運と言えばジュビロ磐田の前田遼一デスゴール伝説だ。いつの間にかすっかり有名になっているっぽいが、「前田遼一がシーズン最初のゴールを決めた相手はJ2に降格する」という現象がこの6シーズンにわたって続いている。前田がリーグ戦で最初にゴールを決めた相手は、2007年はヴァンフォーレ甲府、2008年は東京ヴェルディ、2009年はジェフ千葉、2010年は京都サンガ、2011年はモンテディオ山形、そして2012年はガンバ大阪だった。すべてJ2に降格した。2012年、強豪ガンバ大阪相手にゴールを決めたときには、だれもがデスゴール伝説は今年で終わったと確信したはずである。だが、ガンバ大阪まさかのJ2降格。
●今季、前田のゴールはまだ生まれていない。マリノス戦で決められてしまう可能性もあったわけだが、幸いにして前田からはゴールを奪われずに済んだ。次に磐田がリーグ戦で戦う相手はサガン鳥栖、その次は浦和レッズ。どちらも降格しそうにもない相手だと思うが、注目度は高い。
●前田遼一のデスゴール、どうしてそんなことが起きるのだろうか。もちろん、偶然だ。サイコロを振ったら、たまたまそんな結果が出ただけの話だ。意味はない。意味はないけど、浦和戦あたりで出てくれるとなぜか嬉しいかもしれない、フヒヒヒ。
トッパンホール「エスポワール」新シリーズ記者会見
●14日の昼はトッパンホールで記者会見。若手演奏家に飛躍の機会を提供するシリーズ「エスポワール」の話題が中心で、シリーズ10としてピアノの北村朋幹さん(写真右)、シリーズ11としてヴァイオリンの山根一仁さん(左)が登場。西巻正史企画制作部長による企画趣旨説明と、お二人のアーティストによる演奏を一曲ずつ、さらに公演への抱負が語られた。
●北村さんは今年10月12日にソロでシューマン、ホリガー、ベートーヴェン、バルトークからなるリサイタルを開き、さらに2014年10月には室内楽プログラムでダニエル・ゼペック(vn)、オリヴィエ・マロン(vc)とベートーヴェンで共演、そして15年にはあるピアニスト(調整中)と共演する。一方山根さんは14年3月にいきなり無伴奏のリサイタルを開き、15年にデュオ、トリオ、16年にリサイタルが予定される。いずれもホールがアーティストの成長や挑戦を積極的にサポートしていこうという企画意図に基づき練られたプログラム。
●で、北村朋幹さん21歳、山根一仁さん17歳という若さなんだけど、もうホントにスゴい、二人とも。演奏がすばらしいだけじゃなくて、話し方、話す内容もしっかりしていて、その年齢からは考えられないほどの成熟度。北村さんはLFJでもすでに活躍していて、R・シュトラウス「メタモルフォーゼン」を自身のピアノ・デュオ用編曲で披露してくれたのが印象に残っている。この日はブラームスの創作主題による変奏曲を演奏。一つ一つのフレーズが豊かな詩情を湛え、音楽があふれ出てくる。楽器のピアニスティックな機能性を発揮させることに対して関心が薄そうなところも好感度大。山根さんはサラサーテのカルメン幻想曲。すさまじい切れ味。おっさんおばさんには不可能なアスリート的な敏捷性を見せつけてくれたというか。観客が入るとさらに大胆さが発揮されると予想。若くて優秀な人が次々と現れるのだなあ……。
●最後に新リーズ「室内楽マイスターへの道」が今年7月からスタートすると発表、第1回に出演するピアノの津田裕也さんが登場し、演奏とメッセージを一言。公演ではイェンス=ペーター・マインツのチェロと共演する。第2回は14年1月にピアノの佐藤卓史さんで、ヴォルフラム・クリストのヴィオラと共演する。
●以前から感じていることだけど、トッパンホールって本当にリソースに恵まれているなあとあらためて実感。凸版印刷偉大すぎる。
インキネン&日本フィルの公開リハーサル&記者懇談会
●13日、ピエタリ・インキネンと日本フィルの公開リハーサル&記者懇談会が開かれた(杉並公会堂。司会進行は奥田佳道さん)。フィンランド出身の日フィル首席客演指揮者インキネンが明日15日からシベリウス・チクルスをスタートするということで、その話題が中心。7曲の交響曲を3回に分けて指揮するのだが、まずは第1番&第5番、続いて第4番&第2番、最後に第3番&第6番&第7番という組み合わせ。インキネンによれば、曲の割り振り方は「そんなに選択肢はない」。「時系列で順に並べるという考え方もあるが、そうすると第1番&第2番はロマンティックで長大な曲が並んでしまう、第3番と第4番、第5番~第7番と分けるとバランスが悪い。第4番は作風が変わって特別な曲なので、人気曲の第2番と組み合わせたかった。第6番と第7番には類似性がある」。
●第6番と第7番についてはつなげて一曲として演奏したいとか。6番と7番をセットで考えるのであれば、曲の長さからいっても性格からいっても、その前に第3番を置くのは納得。で、1番&2番のロマンティック・セットを避けようとすれば、たしかに自然とこんな割り振り方になりそう。
●インキネンがシベリウス以外に最近力を入れている作曲家はワーグナー。現在パレルモのテアトロ・マッシモで「リング」進行中。日フィルとは9月の定期演奏会で「ワルキューレ」第1幕(演奏会形式)をとりあげる。歌手陣はエディス・ハーラー、サイモン・オニール、マーティン・スネル。
●来年2月の日フィル九州ツアーはインキネンが指揮。シベリウスの交響曲第2番他、2プログラムを予定。
ブラッドフォードのバットマン
●何日か前にロイターにこんなニュースが載った。「英警察に現れたバットマン、正体は中華料理の配達人」。2月25日未明にブラッドフォードの警察署にバットマンの扮装をした男が現れて、容疑者の男を警察に引き渡した。ニュースの第一報はまるでおとぎ話のようだった。ところがこの少し太めのバットマンの正体は中華料理店の配達員で、容疑者とは彼の友人だった。容疑者は自ら出頭しようと思い立ち、バットマン氏に自分を警察に連れて行ってくれと頼んだ。バットマン氏はわざわざそんなコスチュームを着たわけではなく、たまたまそのときロンドンでバットマンの格好でサッカー観戦をしており、そのまま着替えずにブラッドフォードに帰って、友人の容疑者を警察署に連れて行った。軽いおふざけでバットマンをきどったら、それが世界中でニュースになって流れた。
●で、このロイターの記事なんだけど、「この男はいつもバットマンの格好でサッカーを見ているのか?」と疑問に感じないだろうか。だいたいブラッドフォードの人間がどうしてロンドンに試合を……ってところで、あっ!と気づいた。
●それって、2月24日にウェンブリー・スタジアムで行われた、あのブラッドフォード・シティvsスウォンジーのリーグカップ決勝戦じゃないすか! ブラッドフォードはなんと4部リーグのチーム。大番狂わせで決勝まで勝ち進んでしまった。一方、スウォンジーはプレミアリーグのチームだが、こちらも最近ようやくプレミアまで昇格してきたウェールズの小さなクラブ。つまり特大番狂わせvs番狂わせの決勝戦になった。結果は実力通り0-5でスウォンジーが大勝して初優勝を飾ったわけだが、この試合は勝者も敗者もハッピーになれた試合だったはず。スウォンジーにとっては夢のような優勝だし、ブラッドフォードだって4部リーグながらウェンブリーまでやってきたんだから、十分におとぎ話だ。
●一生に一度あるかないかの奇跡に、男はバットマンの扮装で臨んだわけだ。バットマンになにか由来があるのかどうかは知らないが、特別な舞台だったことは理解できる。そして、その深夜、ブラッドフォードに帰還して、警察署でもう一つのおとぎ話の主人公になった。
METライブビューイング「リゴレット」マイケル・メイヤー演出
●METライブビューイングのヴェルディ「リゴレット」、舞台はなんとラスヴェガス。演出はマイケル・メイヤー(ミュージカルの演出家なんだとか)。どぎついネオン、カジノ、ダンサーたちが舞台を極彩色で飾るド派手演出。で、マントヴァ公爵の役どころはフランク・シナトラをイメージした業界のドン「デューク」。チェプラーノ伯爵やマルッロはシナトラの取り巻きたち「ラットパック」のメンバーだ。60年代アメリカのポップ・カルチャーにまったくなじみがないワタシたちにも言わんとするところは伝わる。女なんて遊び相手に過ぎずあたかもオモチャのように扱う権力者がいて、あわれな道化がいて、殺し屋がいて、カネと欲望が渦巻く街。ラスヴェガスが舞台でなんの齟齬もない。幕が開いてすぐにデューク(公爵:ピョートル・ベチャワ)がセクシーなダンサーたちを携えてマイク片手に「あれかこれか」を歌う。テンションあがる!
●もう一つ「リゴレット」の物語でキーとなるのが「呪い」の言葉。モンテローネがかけた呪いがリゴレット父娘にふりかかえるわけだが、現代において呪詛の言葉が本当に意味を持つ場所はどこかといえば、それはやはりラスヴェガスみたいな街なんじゃないかな、という点でも納得。このマイケル・メイヤー演出ではリゴレット(ジェリコ・ルチッチ)は明確に不具者として描かれてはいない。かろうじて背中にこぶがあるかどうかというくらい。業界のお調子者で毒舌をまき散らすが、家に帰れば優しいパパ。
●ジルダ役のディアナ・ダムラウ、スパラフチーレ役のステファン・コツァンらの好演もあり、大いに楽しめる舞台だった。指揮はミケーレ・マリオッティ。
●さて、ここからはワタシなりの理解なんだけど、ダムラウが歌うジルダはどう見えただろうか。歌唱は最高だが、ダムラウおばちゃんはどう見ても純朴な少女には見えない、と思われるかもしれない。だが、違うんである。「オペラは(脚本家や演出家の意図に合わせて脳内補正するのではなく)見たままに解しよう」キャンペーン実施中のワタシは、ジルダはあの通りの40代女子であると受け取った。つまり、リゴレットは子離れのできなかった父親なんである。娘に「お前は教会だけに行け。ほかに外出は許さない」と言い続けてきたので、娘は世間に触れることなく40代の純朴な女子になった。リゴレットは60代。つじつまはあう。リゴレットが世間に対して築いた不信の壁が、ジルダに囚われの人生を送らせた。デュークはジルダに一瞬本気の恋をする。彼にとって若くてきれいなだけの女性はありふれた存在だが、ジルダは違う。未知の存在、設定外の存在だ。デュークは征服欲を刺激される。
●ジルダの「私がデュークの身代わりになって殺し屋に殺されましょう」という奇天烈な自己犠牲は、父リゴレットに自らの謀略で娘を死に至らしめるという最大の罰を与える。人生を檻に閉じ込められた娘の父親への復讐劇とも読める。この物語で共感可能な人物がいるだろうか。いるとすれば、それはのびのびと放蕩にふけった若者デュークかもしれない。
黄色い世界
●日曜日、東京はなんと最高気温25度を超えて夏日に。統計を開始して以来もっとも早い夏日だったとか。午前中、薄着をして近所の公園まで出かけたが、汗ばんで暑いと感じたほど。ところが、午後に入ると急激に温度が下がり、空気が黄色くなった。空は全体に砂塵が舞っているかのように薄暗く黄色く染まっている。歩いていても口のなかがジャミジャミする。え、こんなところまで黄砂? それとも花粉? なんなのこの黄色いのは。
●世界が黄色く染まり、視界がきかないという恐るべき終末的光景。いよいよこれはZdayか?と思ったら、「煙霧」という現象なんだとか。地表のちりなどが巻き上げられてこうなるそうで、ヨソからやってきた外来の脅威かと思ったら、実は自分ン家のゴミだったという暗示的なオチ。いやオチじゃないけど。
●一週間遅れだけど、マンチェスター・ユナイテッドvsノリッジ戦での香川真司のハットトリックをようやく見た。3ゴールとも美しすぎて驚愕。1点目の技巧的なキックもいいし、2点目、ルーニーからパスを受けて相手ディフェンスとキーパーの動きを見て逆に軽いタッチで流し込んだシュートも芸術的。圧巻は87分の3点目。ハーフウェイライン上で自分自身が起点になって、そこからゴール前まで走りこんで、ルーニーからパスをもらっている。狭いエリアで完璧にボールをコントロールできて、しかも試合終盤でも長い距離を走れる。モダン・フットボールのトップ下って感じがする。
ロンドン交響楽団「魔法の冒険」
●来日中のロンドン交響楽団による「子供たちに贈るスペシャル・コンサート~魔法の冒険」へ(サントリーホール)。主催はソニー音楽財団。いやー、これは感動。企画がよく練られたキッズ・コンサートで、アイディアも本気度もさすがのクォリティ。
●とにかく客席を参加させるのがいい。リズム遊びみたいに手を叩いたり足踏みしたり声を出したりしながら、コンサートが進む。ベートーヴェン「田園」の第4楽章を演奏する前に、オケで実際に音を出してこれが嵐、これが雷……と説明するだけでなく、「手の甲を叩いて雨の音を出してみよう」「次は口で嵐の音を出そう」とかやってから、曲を演奏する。目鱗。
●司会のおねえさんはレイチェル・リーチという若い女性で、子供さばきも見事なんだけど、実は作曲家なんだとか。客席参加型の自作として Inoh' Pokak(イン・オー・ポカク)という曲を持ってきてて、みんなで拍手、足踏み、発声でオケと共演する。キッズも大人も楽しんでた。「Inoh' Pokakというのは意味のない音です」と説明してスタートして、最後はネタばらしというか、この言葉を後ろから読むと「カコフォニー Cacophony」(不快な音)になるという仕掛けなんだけど、さすがにこれは日本人にはわからない(笑)。でもいいの、みんな満足してたから。
●指揮は注目の若手ダーヴィト・アフカム。最後に「ハリー・ポッター」の「ヘドウィグのテーマ」を演奏してくれた。すげー、ロンドン交響楽団の「ハリー・ポッター」、本物だ~的な。
●こういうのを体験すると、単に司会が曲の説明をしてオケが演奏するだけのキッズコンサートがすべて色褪せて見えてしまう。
エンリコ・オノフリ&オーケストラ・アンサンブル金沢
●6日は急遽金沢へ。石川県立音楽堂でエンリコ・オノフリとオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の初共演。バッハとヴィヴァルディのみの今日のモダンオケの定期公演ではなかなかないバロック音楽プロが実現した。オノフリは指揮をするだけではなくて、ずっとヴァイオリン弾きっぱなしでアンサンブルをリード。オノフリのヴァイオリンや濱田芳通さんのリコーダーと並んでOEKのプレーヤーたちもソロを務めるという異種格闘技でもあり、なおかつ定期公演というフォーマットに収まっている以上OEKのお客さんのための公演であるので、どんな雰囲気になるのかもぜんぜん予測がつかなかったんだけど、大成功だったと言っていいんじゃないだろうか。特に後半、ヴィヴァルディの「調和の霊感」第11番ニ短調、バッハの管弦楽組曲第3番ではスリリングでしなやかなオノフリ節が炸裂。終演後のオノフリのサイン会も盛況。OEKには近年ミンコフスキも客演してるけどそのときは20世紀前半プロだったので、今回のプログラムは貴重だったのでは。この定期に先立って、オノフリとOEKメンバーによる室内楽公演も交流ホールで開かれたそうなので、これを機にさらに先が開けることを期待するしか。
●東京みたいに「一年中なんでもやってる」のを普通だと思うとピンと来ないかもしれないんだけど、金沢クラスの都市の人口規模だと、そこのオケのシーズンが実質的にその街の音楽シーズンの幹にならざるをえない(定期会員っていうベースがあるから)。なので、OEKは二管編成の室内オケにできる限られたレパートリーだけじゃなくて、たとえばオノフリの直前には地元学生オケとOEKが合同演奏でチャイコフスキーの「悲愴」みたいな曲もやってるし、4月には金聖響指揮大阪フィル(当初はベルギー・フランダース交響楽団の予定だった)の演奏会がOEKの定期公演のひとつとして開催される(OEKは出演しないのに、OEKの定期公演のシリーズに組み込まれている)。だったら、シーズンのなかにバロック・ウィーク、古楽ウィークみたいなものも年に最低1回くらいは欲しいと渇望してる方も多いと思うんすよね。しかもレパートリー的には広大な沃野が広がってるわけだし。
BunkamuraのN響オーチャード定期、飯森範親指揮、シュテファン・ドール
●3日はBunkamuraでN響オーチャード定期。飯森範親指揮でウェーバーの「オイリアンテ」序曲、R・シュトラウスのホルン協奏曲第2番(シュテファン・ドール)、チャイコフスキーの交響曲第5番。ベルリン・フィルの首席ホルン奏者シュテファン・ドールがシュトラウスを吹くのだから、もちろんすばらしい。ほれぼれと聴きほれる。とはいえ、せっかくドールを聴けるのにこれだけでは物足りないかな……と思っていたら、アンコールでメシアン「峡谷から星たちへ」の「恒星への呼び声」を演奏してくれた。これがもう強烈。ホルンからこんな多彩な音色、表情が出せるなんて。そして恐るべき安定感。
●で、少し感動したのは、「恒星への呼び声」で(フツーに聴けば)風変わりな音が出るわけだけど、そこで客席から「フフフ……」って小さな笑い声が起きたんすよ、何度か。そそ、これ笑うよね!と心のなかで膝を打った。N響オーチャード定期って「休日の午後、渋谷でゆっくり過ごしましょう、コンサート聴いて、それからおしいものでも食べてね♪」っていうノリのシリーズなので、お客さんの年齢が幅広い。若い人もたくさんいる。曲目は名曲中心。どういうニュアンスにせよ、コンサートで笑えるというのは理想。笑いたい。
●チャイコフスキーはさすがの完成度。炸裂するロマンティシズム。第1楽章からほとんどアタッカで第2楽章に入った。終楽章で客席のお客さんがみんな頭を上げているのに気づいた。舞台に集中して、食い入るように見つめている。チャイコの5番って、そういう曲なんすよね。これは相当客席が沸くだろうと思ったが……やや予想ははずれたか?
Jリーグ2013シーズン開幕。マリノスvs湘南ベルマーレ
●いよいよJリーグ開幕。ますます日産スタジアムは遠く、せめてものテレビ観戦、しかも結果を知った上で。スリルなしの予定調和、なにが起きても最後は4-2で勝つってわかってるわけだし。安心、安全。これ以上はないという軟弱観戦スタイルであるが、許せ、フットボールの神様。
●マリノスは「これからの主力」と思った選手がガンガンとヨソに去り(そして活躍する)、意外な選手が定着したりする傾向大ありなんだが、昨季4位を確保した以上、樋口靖洋監督をはじめとするクラブの戦略を否定ばかりしているわけにもいかず。予算規模からいえば4位で喜んでいるわけにもいかないんだけど、近年は10位前後に定着しつつあったので。
●先発はGK:榎本-DF:小林祐三、栗原、中澤、ドゥトラ-MF:富澤、中町、兵藤、端戸、中村俊輔-FW:マルキーニョス。キーパーは飯倉ではなく榎本。再び正GKの座につくのか? 昨季に続いて左サイドバックはドゥトラ39歳。中澤も35歳、俊輔34歳、マルキーニョスまもなく37歳。熟している。かなり。今季もあらゆる対戦チームがドゥトラの裏を狙ってくるだろう。
●中村俊輔のFKから先制するも、キリノに2ゴールを奪われ逆転され、後半にマルキーニョス、交代出場した齋藤学、さらにマルキーニョスと3ゴール奪って再逆転するシーソーゲーム。後半、湘南の勢いがなくなってから3ゴールは見事で、齋藤学がよかった。しかし2失点はいずれも中澤がキリノを止められずに失ったゴール。スピード勝負になると厳しい。マリノスは試合途中で4-2-3-1から4-4-2に変更、これが功を奏したというよりは湘南がペースを失ったという印象。守備はお互い頭が痛い。攻撃はもう齋藤学にドリブルで大暴れしてもらうしかない。
スダーン&東響のオール・モーツァルト・プロ
●2日はスダーン指揮東京交響楽団の「オール・モーツァルト・プロ」へ(東京オペラシティ)。前半に「フィガロの結婚」序曲、ヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」(戸田弥生)、後半に「フィガロの結婚」からのアリア「さあ、ひざまづいて」「恋人よ、早くここへ」とコンサート・アリア「あなたは今、忠実ね」K217(新垣有希子S)、交響曲第38番「プラハ」という晴れやかなプログラム。スダーン&東響のコンビのモーツァルト、久しぶりに聴いたけどこんなにすばらしかったとは。ヴィブラートを抑制して、バロック・トランペット、バロック・ティンパニを用いた澄んだ響きと穏健なフォームで描かれる精彩に富んだモーツァルト。新垣有希子さんも華があって爽快な気分に。
●今日の17時から、同じプログラムで新潟定期があるんすね。これだけ完成度の高いモーツァルトは都内でもめったに聴けないので、ブルーノ・ロペスの太腿並みの力こぶでオススメしたい。
●同日、Jリーグ開幕。Jリーグタイムでマリノスの勝利を知る。これで安心して?試合の録画を再生できる。