●6日は急遽金沢へ。石川県立音楽堂でエンリコ・オノフリとオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の初共演。バッハとヴィヴァルディのみの今日のモダンオケの定期公演ではなかなかないバロック音楽プロが実現した。オノフリは指揮をするだけではなくて、ずっとヴァイオリン弾きっぱなしでアンサンブルをリード。オノフリのヴァイオリンや濱田芳通さんのリコーダーと並んでOEKのプレーヤーたちもソロを務めるという異種格闘技でもあり、なおかつ定期公演というフォーマットに収まっている以上OEKのお客さんのための公演であるので、どんな雰囲気になるのかもぜんぜん予測がつかなかったんだけど、大成功だったと言っていいんじゃないだろうか。特に後半、ヴィヴァルディの「調和の霊感」第11番ニ短調、バッハの管弦楽組曲第3番ではスリリングでしなやかなオノフリ節が炸裂。終演後のオノフリのサイン会も盛況。OEKには近年ミンコフスキも客演してるけどそのときは20世紀前半プロだったので、今回のプログラムは貴重だったのでは。この定期に先立って、オノフリとOEKメンバーによる室内楽公演も交流ホールで開かれたそうなので、これを機にさらに先が開けることを期待するしか。
●東京みたいに「一年中なんでもやってる」のを普通だと思うとピンと来ないかもしれないんだけど、金沢クラスの都市の人口規模だと、そこのオケのシーズンが実質的にその街の音楽シーズンの幹にならざるをえない(定期会員っていうベースがあるから)。なので、OEKは二管編成の室内オケにできる限られたレパートリーだけじゃなくて、たとえばオノフリの直前には地元学生オケとOEKが合同演奏でチャイコフスキーの「悲愴」みたいな曲もやってるし、4月には金聖響指揮大阪フィル(当初はベルギー・フランダース交響楽団の予定だった)の演奏会がOEKの定期公演のひとつとして開催される(OEKは出演しないのに、OEKの定期公演のシリーズに組み込まれている)。だったら、シーズンのなかにバロック・ウィーク、古楽ウィークみたいなものも年に最低1回くらいは欲しいと渇望してる方も多いと思うんすよね。しかもレパートリー的には広大な沃野が広がってるわけだし。
March 8, 2013