●このコンビ最後の来日というブリュッヘン&18世紀オーケストラ(すみだトリフォニーホール)。昨夜のベートーヴェン第2番&第3番「英雄」でスタートし、今日、明日と公演が続く。15日には新日本フィルとのシューベルトも一公演あり。今晩はアヴデーエワとのショパンのピアノ協奏曲。若干当日券が出る模様。
●で、ブリュッヘン翁。昨晩は車いすに乗って舞台にあらわれた。前回まではゆっくりとながら歩いて登場していたのだが、ついに……。しかし指揮台にのぼればそんなことはまったく忘れさせてしまう圧巻のベートーヴェン。Glossaレーベルからリリースされた新しいベートーヴェン交響曲全集の録音から、峻厳で荒々しいベートーヴェンを予感していたんだけど、むしろ90年代を思い出させるような熱く、雄弁な演奏だった。肉体的な老いは不可避であっても、その精神は自由に躍動できるのだと示してくれているかのよう。そしてオケの響きがやっぱりすばらしい。
●アンコールにシューベルト「ロザムンデ」間奏曲。鳥肌が立つしなやかさ。盛んなブラボーの声とスタンディング・オベーションで拍手やまず。オケのメンバーが去って通常なら一般参賀となるところだったが、代わってコンサートマスターが一人舞台にあらわれて一礼。老匠の過度な肉体的負担を避けるために、これはよい方式かと。
April 5, 2013