April 11, 2013

ブリュッヘン&18世紀オーケストラ、二日目&三日目

ブリュッヘン●記憶が薄れないうちに先週の落穂拾い。ブリュッヘンと18世紀オーケストラ(すみだトリフォニーホール)、初日のベートーヴェンに続いて、二日目(5日)はユリアンナ・アヴデーエワを招いてショパンの両ピアノ協奏曲。冒頭にモーツァルトの交響曲第40番が置かれたので長いコンサートになった。このモーツァルトは前夜のベートーヴェンの雰囲気を引き継いでいて、かつてのブリュッヘンを思わせる熱気のこもった音楽。少し前夜よりリラックスしたムードも。ショパンのピアノ協奏曲ではアヴデーエワが1837年製エラールを使用。ピアニストが指揮者と正対する位置に楽器が配置されていた。音色の多彩さに眩暈。モダン・ピアノとはまったく別の楽器と改めて実感する。前半は協奏曲第1番まで、後半第2番が開始される時点ですでに8時50分くらい。長い公演だけど退屈にはほど遠い。
●三日目(6日)はシューベルト「未完成」とメンデルスゾーン「スコットランド」(当初1842年ロンドン稿が予定されたが現行版に変更)。この日の夜から東京は爆弾低気圧のため荒天になるとの予報。昨年も同時期に爆弾低気圧がやってきて、その時は横殴りの雨と風の激しさにまともに歩けず、演奏会を断念した(公演は中止されたのであきらめて正解だったのだが)。天気予報によればおそらく嵐のピークの前には帰宅できるかなという感触だったが、天候はどうなるかわからないもの。昨年の辛さを思い出し、上下のカッパを持参し、デイパックに軽登山靴の服装で会場に向かう。
●が、嵐はコンサートのなかで起きていた。「未完成」では異様に遅いテンポによる暗黒のロマンティシズム炸裂。「スコットランド」は第1楽章で嵐が吹き荒れる。「未完成」とうってかわって軽快で、開放感あり。短いプログラムだが、充足度は高い。大ブラボー大会の後、アンコールはバッハのカンタータ第107番「汝何を悲しまんとするや」コラール、ヨーゼフ・シュトラウスのポルカ・マズルカ「とんぼ」。「とんぼ」は意表をつかれたが、これが絶品。物悲しい気分に浸りつつも、一般参賀へ、そして最後はオーケストラのメンバーもそろって大一般参賀に。帰り道は無問題、風雨のピークは深夜になった模様。
●これで18世紀オーケストラとの公演はおしまい。ブリュッヘンはあと一公演、新日本フィルとの共演が残っている。

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