April 16, 2013

東京・春・音楽祭「ストラヴィンスキー・ザ・バレエ」

ストラヴィンスキー●14日は東京文化会館で東京・春・音楽祭の「ストラヴィンスキー・ザ・バレエ」。初演100年となる「春の祭典」をベジャールの振付でバレエ上演する。さらにこれに先立ちパトリック・ド・バナ振付による「アポロ」も。
●バレエは門外漢なのでアウェイ感満載であるが、この音楽祭であればそういうお客さんも多いはず。「アポロ」のほうは舞台上に櫓みたいなものが組まれていて、その上にアンサンブルが乗っていた。演奏は長岡京室内アンサンブル。大変すばらしい。でも高所恐怖症の方はいないのか? 見ているだけでお尻ムズムズ。で、ダンスのほうは読み替え演出(って言い方はしないのか?)みたいな感じのオリジナルの設定があって、これは事前にシノプシスを読んでおかないと絶対にわからない(と思う。だってオペラと違って言葉がないんだもの)。主役の男はダンサーで「ミューズを率いるアポロ」を踊る予定だったのが、若い女性が殺されて冤罪により死刑を宣告され、それから19年間死刑執行を待ってて、精神病院に移されてるんだけど、ニジンスキーの日記を読み返すにつれて自分をニジンスキーに重ねてゆく……云々。いや、そこからさらにまだまだ事前設定があって、その世界観のなかでダンスが繰り広げられるという、バレエ素人瞬殺の演出(じゃないや、振付か)。とはいえストラヴィンスキーの音楽だけでも十分鑑賞可能なわけで(コンサートならそうなる)、舞台&ダンス付きのコンサートとして意図されない楽しみ方をしてしまった。
●バレエの常識ってものがあり、その上で振付についての歴史的文脈というものがあるはずで、そういうのを「バレエの見方というのはこうなんですよ」と親切にガイドしてくれる本とかもきっと山のようにあるんだろう。クラシックのコンサートやオペラを外部から見ると、いま自分がバレエに接しているこの状態になる、というのをうっすらと想像してみる。
●後半、ベジャールの「春の祭典」。東京バレエ団、ジェームズ・ジャッド指揮東京バレエ団。これはストレートに楽しめる舞台。バレエ素人のクラシック音楽ファンが「春の祭典ってきっとこういうバレエにちがいない」と期待するそのものずばりの振付なんじゃないだろうか。古典性すら感じる。一度は見ておくべきものを目にできて大満足。おまけに都響の切れ味鋭い演奏はそれだけで充足できる水準。ぜいたく。現代的な演出(あ、振付か)の「春の祭典」も見てみたくなる。
●今年の「東京・春・音楽祭」はこれでおしまい。来年はぜひミュージアム・コンサートをミュージアムといっしょに楽しむという一日を作りたい。 丸一日上野で過ごす日を。

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