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April 25, 2013

ビシュコフ&N響、ラベック姉妹のデュビュニョン&ベルリオーズ

サン・ロマーノの戦い●24日はビシュコフ&N響へ(サントリーホール)。前半にリシャール・デュビュニョンの2台ピアノと2つのオーケストラのための協奏曲「バトルフィールド」日本初演。ピアノはラベック姉妹(マリエルはビシュコフ夫人)。LAフィル、パリ管、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管、スイス・ロマンド管というそうそうたる4オーケストラによる共同委嘱作品で、今回日本でも初演されることに。ウッチェロの絵画「サン・ロマーノの戦い」に着想を得ているとか。
●舞台中央にラベック姉妹の2台ピアノが向き合って、センターに少し空きを作って、左右に2群のオーケストラが陣取るという、視覚的にも対立の図式がわかりやすい配置。パーカッションが分厚い3管編成相当のオケを左右に分けたような感じなんだけど、管楽器は高音域の楽器を(客席から見て)左に、低音域の楽器を右に置き、さらにバンダとしてP席左上方にトランペット、右上方にバストランペットが立つ。この左軍と右軍が壮大な音のバトルを繰り広げる。バンダの両トランペットが開戦を告げる。左軍ではエレキベースが活躍。しかし戦いはやがて対話と和解に至り、最後は肯定的に曲を結ぶ。2つの協奏的編成による協奏曲というメタ協奏曲でもあり。豪勢。激烈ではあるけど作風としては穏健。ストラヴィンスキーとか、バルトークとか、バーンスタインを連想しつつ。
●客席から作曲者デュビュニョンが呼び出され喝采を受けた後、アンコールにラベック姉妹が2曲。バーンスタインの「ウェスト・サイド・ストーリー」から「ジェット・ソング」(アーウィン・コスタル編)とデュビュニョン編曲の「赤とんぼ」。
●後半はベルリオーズの幻想交響曲。隈取りの濃い重戦車級「幻想」で、今季最大音圧の爆演。客席はわいた。
●ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」第3幕のイングリッシュ・ホルンの長大なソロは「幻想」の第3楽章に触発されてるんすかね。