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April 26, 2013

ゾンビと私 その26 「アイアムアヒーロー」 第6巻~第11巻

アイアムアヒーロー 11●先日の「アイアムアヒーロー」第1巻~第5巻に続いて、第6巻~第11巻について(花沢健吾著/小学館)。謎の感染により世界がゾンビ化、じゃないや、ZQN化する世界において、生き延びた人々を描く。序盤では冴えない漫画家の日常についての秀逸な描写が光っていたが、途中からどんどん終末の物語らしくなってゆく。この種の長編化した物語としては珍しいんじゃないかと思うが、後半のほうがさらにおもしろい。
●これって「ウォーキング・デッド」(シーズン3は未見)と同じで、生き残った人間集団の描き方がいいんすよね。ゾンビが(いやZQNが。ZQNってネーミングも鋭い)昇ってこれないアウトレットモールの屋上でグループを作って生き残る人々。埼玉県の久喜でZQNと戦うグループ。そこにはどんな規律が生まれるのか、どうやって食糧を確保するか、等々。つまり、これこそワタシたちが(運よく生き残れたとして)Zday以降に必要とすることである。東京近郊という現実的設定ゆえに、いくつもの大きなヒントがあった。久喜のグループのひとたちが自転車で移動しているのも、以前ご紹介した The Zombie Survival Guide: Complete Protection from the Living Deadの「ゾンビの攻撃から生き残るための10のレッスン」にあった教えの通りなわけで、先行研究を着実に役立てているのが心強い。
●ただ、第11巻まで来ても作品内時間はそんなに経ってないみたい。まだ電力も来てるし、食料品はみんなお店等に残された保存食でしのいでいるっぽい。都市部なのでそうなるのが妥当だとは思うが、いずれは食料生産をどうするのか、水をどうするのか、という問題が出てくるはず。都市にも野生動物が跋扈するだろう。現時点ではサバイバルの段階はそこまでは行っておらず、気配としては「人間はいかに人間から身を守るか」に焦点が当てられそう。
●ZQNも怖いが、人間も怖い。人間は人間から収奪する。しかしその一方で、人間は一人では生きられない。ZQNは一人でも生きられる(いや、死んでいられる)。この非対称性をどう考えるか。そこがヤツらとの戦い(あるいは共存)の鍵となる気がする。

>> 不定期終末連載「ゾンビと私