●30日はサントリーホールでドミトリー・キタエンコ指揮東京交響楽団定期演奏会。プロコフィエフのあまりライブでは聴かない交響的協奏曲(チェロはイェンス=ペーター・マインツ)と、最近よく聴く気がするラフマニノフの交響曲第2番。前後半で対照的なキャラクターの曲が並んだ。特に後半のラフマニノフの演奏は圧巻。精妙でありながらも気迫がこもり、オケの響きは澄明で爽快。日常のなかで聴くことができる最高水準の名演を聴いたという手ごたえ。キタエンコに対して漠然としたイメージしか持っていなかったんだけど、東響の最良の美質を引き出してくれたんじゃないだろか。
●イェンス=ペーター・マインツの鬼ソロにもかかわらず、後半のほうをより楽しんだけど、プロコフィエフとラフマニノフ、作曲家としてどちらが好きかと言われたら逡巡レスにプロコフィエフ。プロコフィエフがラフマニノフを毛嫌いしていたという話はあちこちで目にするが、この日の公演プログラムのエッセイ「山田耕筰の会ったラフマニノフとプロコフィエフ」(伊東一郎氏)で紹介されているエピソードもおもしろい。ラフマニノフは山田耕筰にプロコフィエフのことを「才能あるピアニスト」と評した。一方、プロコフィエフは山田にラフマニノフのことを「あれは馬鹿です」と吐き捨てたという。
●なぜプロコフィエフがそんなにラフマニノフを嫌っていたのかについては、(以前も書いたけど)スヴャトスラフ・リヒテルによれば「影響を受けていたから」。ピンと来るだろうか?
July 1, 2013