●東アジア・カップ2013最終戦はホームの韓国。韓国1-2ニッポン。柿谷曜一朗が2ゴールを決めてニッポンは2勝1分で優勝。結果よりも選手選考のための大会だとは思うけど、公式戦のタイトルというのはめったに得られるものではない。試合終了後に喜びを爆発させる選手たちの姿を見るのはやはりいいもの。
●で、注目のメンバーは初戦の11人が復帰。言ってみれば実質B代表のこのチームを、ザッケローニはさらに2チームに分けて、B1、B2、B1と起用したわけだ。まるでオペラのダブルキャストみたいに。GK:西川-DF:駒野、栗原、森重、槙野(→徳永)-MF:青山、山口螢、高萩(→豊田陽平)-FW:工藤(→山田大記)、原口、柿谷。試合は韓国がボールを保持する時間が長く、ニッポンは前の選手まで守りに追われる場面が多かったが、カウンターから2ゴールを奪って勝利した。1点目は自陣の青山からのロングパス1本で柿谷が抜け出て、キーパーとの一対一を制したゴール。2点目は左サイドを抜け出た原口がドリブルからシュート、キーパーが逆サイドに弾いたところを柿谷が冷静にボレーで蹴り込んだ。原口が決めていてもおかしくなかったんだけど、キーパーが弾いたところに柿谷が待ち構えていたというのが、なんとも巡りあわせを感じさせるところ。
●結局、終わってみれば前評判通り、柿谷曜一朗が活躍した大会になった。最後に豊田を入れるまではずっと柿谷はセンターフォワードで使われていたのは、前田遼一とのポジション争いを念頭に置いてのことだと思う。前田遼一は近年の日本人最強ストライカーだけど、今年32歳。ハーフナー・マイクもレギュラーを任せられるような状況ではなく、このポジションが一番ブラジル大会で新星が割って入る余地がありそう。柿谷は次のA代表ですぐに呼ばれるはず。
●豊田陽平はまだ可能性があるかもしれない。ハーフナー・マイクは先シーズン、オランダ・リーグでブレイクしたけど、今シーズンの出来次第では豊田が呼ばれてもおかしくない。個人的にいいなと思ったのは高萩洋次郎。トップ下でファイトできる、強い選手。ただしここは激戦区。齋藤学は結果を出したが、1回きり。齋藤、原口、大迫らが代表における乾の序列を脅かせるかどうか。東アジアのB代表相手に通用したからといって、ブンデスリーガで常時プレイしている選手を押しのけられるものか、という問いにはYesともNoとも回答可能だろう。
●後ろのポジションはもう一つ。槙野のサイドバックはやっぱりないんじゃないか。センターバックの層は相変わらず薄い。求む、強くて高くてフィードのうまい選手。あと、もともと代えにくいセントラルミッドフィルダー。遠藤、長谷部の後継者を育てるにはもう時間がないか。
●韓国代表の監督がホン・ミョンボで感慨深い。なるべくしてなったというか、U-20、五輪代表を経てフル代表監督。クラブでの監督経験がないまま代表監督になったという点ではフランク・ライカールトやルディ・フェラーと同じ……と書いて気づいたけど、岡田武史監督もそうだった。
July 29, 2013