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2013年8月アーカイブ

August 30, 2013

ゾンビとわたし その29:「ゾンビサバイバルガイド」日本語版が刊行

ゾンビサバイバルガイド●以前、当欄で(本連載のかなり初期に)マックス・ブルックス著の The Zombie Survival Guide: Complete Protection from the Living Dead をご紹介した。その日本語版が「ゾンビサバイバルガイド」(エンターブレイン)としてついに刊行された。著者のマックス・ブルックスは「WORLD WAR Z」(映画「ワールド・ウォーZ」の原作)の著者でもあり、こちらがデビュー作。「全世界200万部のベストセラー」という売れ行きの好調さを心強く感じるが、裏返せばそれだけ世界でゾンビ禍が深刻化しているということでもある。
●以前、原書を手にした際には、本書は対ゾンビ防御の基本レファレンスとなるべきものという印象があった。「ヤツらは恐怖を感じない。ならばあなたも怖がるな」「クルマから降りよ。自転車に乗れ」「ゾンビが去っても、脅威は続く」といった教訓は、原書の刊行から10年を経た今も有効であると思われる。ただ、この10年の間に見逃せない変化があったこともまた事実。たとえば近年よく目にする「猛ダッシュしてとびかかってくるゾンビ」の存在を考慮すると、そろそろ改訂版が必要な時期に来ているのかもしれない。たとえば、「走るタイプか、のろのろタイプか」「音で反応するタイプなのか、匂いで反応するタイプなのか」等、相手の「型」をいち早く確実に識別する方法が今後は求められるのではないか。

>> 不定期終末連載「ゾンビと私
August 29, 2013

Copyか、Dropboxか?

copy●最近気になるクラウドサービスはCopy。なにができるかというと、ローカル上にあるファイルのコピーを即時的にクラウド上に保存できる。しかも別のマシンと同期することができる。WindowsでもiOSでもAndroidでも利用可。無意識のうちに動作するバックアップとしても便利だし、常時複数のマシンを使う人にとってはこの種の同期ソフトはもはや必須。他人とのファイルのシェアもできる。
●と書くと、それDropboxじゃん、ということになるのだが、Copyの強みは容量。なんと、無料で15GBもの容量が最初からもらえる。しかも、以下のリンクから登録すると、あなたとワタシに5GBのボーナスが付く。つまり、いきなりドドーンと20GBもの領域をゲットできてしまう。

Copyに登録する

●まだ同種のサービスをなにも利用していないという方で、大容量を無料で利用したいならCopyだろう。使い勝手はいい。しかしDropbox(あるいはSugarSync)をすでに使っているなら、乗り換えるというよりは併用を考えてもいいかもしれない。つまり、複数マシン間の同期にはDropboxやSugarSyncを使うけど、Copyは大容量を活かして同期の不要なファイルのバックアップを置くためのストレージとして利用してもいいんじゃないだろか。20GBもあるとなれば、いろんな使い方ができる。

August 28, 2013

東京ドームの「アイーダ」公演中止に

●昨日、新聞報道で先に周知されることになってしまったが、ようやく公式サイトにも告知が掲示された。「ベローナ劇場100周年・ヴェルディ生誕200周年記念オペラ アイーダ東京ドーム公演中止のお知らせ」。チケットは払い戻し。
●9月17・18・19日にわたって開催される予定で、3日間で計10万人規模の集客を見込んでいたという。V VIP席が7万円、VIP席が5万円、R席が3万円で、1階スタンドのS席が1万8千円、2階スタンドのA席が8千円という価格設定だった。「S席」でスタンドとは……。
●「10万人のお客さんを集めるには、日頃オペラを観ない人が来てくれない限り不可能、しかしファンでもない人がそんな高額チケットを買うだろうか?」と思う方もいらっしゃるかもしれないが、かつてバブル期には実際に東京ドームでもオペラ公演があった。ワタシもあの頃に代々木体育館でなにかオペラを観た記憶があるのだが、あれはなんだったっけ……。ぜんぜん覚えていない。
●どうせ「アイーダ」をやるなら新国立競技場のこけら落としで! ウソ。

August 27, 2013

サイトウ・キネン・オーケストラの生中継スクリーンコンサート、ラトル&ベルリン・フィル公開リハーサル

●パジャマのズボンをうっかりと前と後ろを逆にはいてしまったときに「別に眠るだけならこのままでもオッケーなんじゃね?」と一瞬でも思ってしまった怠惰な自分を罰したい。
サイトウ・キネン・オーケストラ生中継スクリーンコンサート●9月3日(火)、松本での大野和士指揮サイトウ・キネン・オーケストラの生中継スクリーンコンサートが六本木ヒルズアリーナで開催される。大型スクリーンを用いてハイビジョン・5.1chサラウンド音響での中継。会場はオープンスペースで、入場無料で申し込みも特に必要がないということなので、気軽に参加できるのが吉。曲はモーツァルトの交響曲第33番変ロ長調、リゲティのフルート、オーボエと管弦楽のための二重協奏曲(日本初演)、R・シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」。
●もう一件、こちらは学生のみなさんに。サイモン・ラトルが指揮する「TDKオーケストラコンサート2013 ベルリン・フィル来日公演」の公開リハーサルに、18歳以上で音楽を学んでいる学生の方200名を抽選でご招待。11月19日(火)17:00~、サントリーホールにて。「当日、学生証をご提示いただきます」ということなので、学生でもないオッサンが無理やり応募してはいけません。

August 26, 2013

「読んでいない本について堂々と語る方法」(ピエール・バイヤール著/大浦康介訳/筑摩書房)

読んでいない本について堂々と語る方法●「げげ、そろそろ夏休みが終わるのに、まだ読書感想文を書いていないし、課題図書も読んでいない!」。8月も終盤に突入、そう頭を抱えている生徒の皆さんも多いのでは。大丈夫、安心してよい。当ブログを読んでくれている中高生諸君のためにステキすぎる一冊を紹介しよう。「読んでいない本について堂々と語る方法」(ピエール・バイヤール著/筑摩書房)。これがあれば本など読まずして、すいすいと感想文を書ける。そればかりか、読書について、あるいは批評について、見識を深めることができる。まれに見る読書家オスカー・ワイルドは一冊の本を読むのに適した時間は10分だと書いた。ポール・ヴァレリーは自分が本をほとんど読まないことを公言し、むしろ読書の危険性を指摘して「作品も作者も必要としない」という批評概念を披露した。

 書物にたいするヴァレリーのこの不信感は、まずは伝記類に向けられている。ヴァレリーは、文学批評の領域では、広く一般に認められていた、一個の作品とその作者とをつなぐ紐帯の存在を疑問に付したことで有名になった批評家である。なるほど19世紀の批評伝統においては、作者のことを知ることは作品を知る一助となるので、作者についてできるだけ多くの情報を集めるのがよいとされていた。
 この批評伝統との決別をはかったヴァレリーは、反対に、作者についての知識は作品の説明には結びつかないと主張した。 (p.30)
 作者も作品も必要としないというヴァレリーの批評概念は、けっして突飛な概念ではない。それは彼の文学概念そのものに根ざしている。ヴァレリーの文学概念を支える主要な考えのひとつは、作者が無用であるだけではなく、作品も余計だというものである。(中略)極論すれば批評家は、作品に目をつむり、作品の可能態に考えを向けることではじめて、批評の真の対象を感知することができる。(p.44, 45)

●読書感想文を書くとなったときに、生徒の皆さんにとっての典型的な悩みは、自分は正しくその本を読めているのかどうか、自分の読み方は否定されるのではないか、という心配だろう。しかし本書で明快に論じられているように、一冊の本をAさんが読みとった内容と、Bさんが読みとる内容は異なる。これを説明するにあたって本書では「内なる書物」という概念が用いられる。ほぼ無意識下にある想像上の書物である「内なる書物」は、新たに本を読んだときにフィルターの役割を果たして、テクストの解釈を決める。当然のように作者の「内なる書物」と読者の「内なる書物」も異なる。これは自分の立場を中高生ではなく、仮想的に本の書き手の立場に置いてみればたやすく想像できる。本を書く人間でなくても、なんらかのテクストを日常的に書いていれば、以下の一節には深くうなずけるはず。

 自分の本について、注意ぶかい読者とゆっくり話をしたり、長いコメントを読んだことのある作家なら誰でも、この「不気味さ」の経験を味わっている。作家はそこで、自分が言いたかったことと他人が理解したことのあいだの呼応関係の欠如に気づくのである。もっともこれは、作家の〈内なる書物〉と読者の〈内なる書物〉の違いにもとづくのであって、そう考えるなら何ら驚くべきことではない。読者がいくら自分の〈内なる書物〉を作家のそれに重ねあわせようとしても、作家がそれを自分のものと認めることはまずないのである。(p.123)
 まず、作家が一番よく自分の本を知っており、それを正確に思い出すことができるということからして、それほど自明なことではない。(p.125)

そもそもひとたび世に出た作品に対して、作者の特権性というものはない。作者にすら否定できないものをあなたの国語教師に否定されることを心配する必要はない。
●本書の終盤ではオスカー・ワイルドの著作「芸術家としての批評家」を引用しながら、創造と批評の関連が(すなわち両者の不可分の関係性が)論じられる。ワイルドは二人の人物の対話という形で論を進め、批評が対象となる作品から独立的であるべきであり、作品は批評のための口実に過ぎないこと、最高の批評は創作よりももっと創作的であることを述べる。

 極端にいえば、批評は、作品ともはや何の関係ももたないとき、理想的な形式にたどり着く。ワイルドのパラドックスは、批評を自己目的的な、支える対象をもたない活動とした点にある。というより、支える対象をラディカルに移動させた点にある。別の言い方をすれば、批評の対象は作品ではなく──フロベールにはどんなブルジョワ田舎女でもよかったように、どんな作品でも間に合うはずなので──、批評家自身なのである。(p.208)

批評の独立性、自己目的性というのはある種の常識に登録される一方で、現実的には風変わりに思われることもままあることなので、人によってはピンと来ないかもしれない。でもこれとほぼ同じような内容の事柄を登場人物に言わせている小説がある。平たく表現するとこうなる。

「邪魅の雫」(京極夏彦著)より

「よい評論とはおもしろい評論のことなのだ。取り上げた作品の絶対的価値を定めるような代物では金輪際ない」
「書評は、先行するテクストを材料にした二次的な読み物だ」
「良い評論と云うのは小説以上に創意工夫が必要なのさ。構築的で論理的で、尚且つ読ませる努力がなくちゃいけない。つまり─読み物だ」

●というわけで、どうだろう、本を読まずして立派な読書感想文を書けることに確信を抱けたのではないだろうか。ちなみに今年の8月31日は土曜日である。すなわち、9月1日の日曜日も夏休みの宿題に費やすことができる。9月1日が実質的に8月32日として機能するという僥倖。祈る、健闘。

August 23, 2013

ドゥダメル&ベルリン・フィルの新譜「ツァラトゥストラはかく語りき」リリース

ドゥダメル&ベルリン・フィルのR・シュトラウス●ベルリン・フィル&ドイツ・グラモフォン録音100周年記念アルバムとして、ドゥダメルとベルリン・フィルのコンビによる初録音、R・シュトラウス「ツァラトゥストラはかく語りき」他が発売された。ベルリン・フィルといえばサイモン・ラトルが2018年までの現契約満了で首席指揮者を勇退するという話があったけど、こうして新譜CDがリリースされるのを見ると、後継者はドゥダメルなのかなあ、みたいな雰囲気になるっすよね。ぜんぜん根拠レスだけど。
●なんとなくこのジャケット・デザインに昭和のおっさんホイホイ的なセンスを感じる。あるいはセルフパロディ的というか。
●で、国内盤のほうが若干先行発売されているのだが、時代は変わったなあと感じるのは、同じアルバムがiTunesですでに7/24から特別価格600円で超大幅先行発売されていたということ。というか、その事実がレコード会社のプレスリリースにババーン!と堂々と記されていることというべきか。
●フィジカルだろうとデジタルだろうと、「聴きたい」っていうリスナーにとっては同じなんすよね、購買チャンネルが違うだけで。実のところ、このドゥダメルの音源はCDリリース前からSONYのMusic Unlimitedでも聴けた(一応。ギャップレス再生できないが)。さらに言えば、もととなるライブ映像はベルリン・フィルのデジタル・コンサート・ホールでアクセスできたわけで、みんな好きなところから聴けばいいわけだ。iTunesが好きではない方はamazon mp3からスペシャルな価格でゲットできる。

August 22, 2013

「ジャン・シベリウス 交響曲でたどる生涯」(松原千振著/アルテスパブリッシング)

ジャン・シベリウス 交響曲でたどる生涯●シベリウスの評伝というと、これまでに「シベリウス ― 写真でたどる生涯」(マッティ・フットゥネン著/音楽之友社)、「シベリウスの生涯」(ハンヌ=イラリ・ランピラ著/筑摩書房)があったが、今やどちらも入手困難。で、そこに待望の新刊「ジャン・シベリウス 交響曲でたどる生涯」(松原千振著/アルテスパブリッシング)が登場した。著者は合唱指揮者で、北欧での演奏経験も豊富。
●で、評伝といいつつも副題に「交響曲でたどる生涯」とあるように、作品解説をさしはさみつつ生涯をたどるという独特の構成になっている。本文正味170ページほどに評伝と作品解説の両方が含まれるので、さすがに評伝部分は細部まで綿密に生涯を追いかけるといった構成にはなっていないが、コンパクトに読みやすくまとまっているのが吉。作品解説も読み甲斐がある。リファレンス的な研究書というよりは、闊達な筆致で綴られた読み物としてのおもしろさに魅力を感じる。逆に巻末に添えられた作品リストは基礎資料として非常に有効。
●シベリウスの過度の飲酒癖については、よく知られていると思う。本書では「交響曲第7番」の章で、演奏旅行中にシベリウスは酒気を帯びてコンサートに臨み、アイノ夫人からたしなめられたことや、あるコンサートでは手の震えが止まらずアルコールの力を借りて乗り切ったことが述べられている。

 アルコールの問題は深刻であった。健康にかかわるというような単純なことではなく、その当時フィンランドでは禁酒の法律が出ていたのである。そして1922年4月、特例を認めない完全禁酒法が施行された。ところがシベリウスは医師から特別に酒を、それも強い酒を得ていた。(p117- )

これは盲点。フィンランドには厳格な禁酒法時代があったんすね。
●秘書レヴァスの記憶として、シベリウスが死の2か月ほど前に「『クレルヴォ』『レンミンカイネン組曲』を入れて私の交響曲は9曲になった」と語っていたという話もおもしろい(p130)。もうとっくに「第8番」はあきらめていた(燃やした?)だろうから、「もう9曲書いたんだからこれでおしまいでいいじゃないの、やれやれ」的なニュアンスだったんだろうか。シベリウスもマジックナンバーとしての「第九」を意識していたというのがおかしい。

August 21, 2013

読者プレゼントはウソだった問題を考える

●「読者5名にプレゼント…ウソ 秋田書店を消費者庁処分へ」。どこの編集部でも似たような話はいくらでもありそう、と思ってしまうワタシは汚れた心の持ち主であろうか。気持ちはわかる。たとえば「当選者1名様じゃしょぼいから話を盛ってみた」「忙しくて賞品の発送がめんどくさかった」「うっかり送るのを忘れてた」「欲しかったから自分でもらっちゃいました」等々、容易に想像がつく。しかし、読者をだますのはよろしくない。今後は、正直に当選者数の後に「ウソ」って明記すべき。
素敵なモレノTシャツ、当たりません●本日8月21日は当サイトの開設記念日。18周年を迎えました。これを記念して読者5名様に写真の特製「2002年ワールドカップでトッティにレッドカードをかざすモレノ主審」Tシャツをプレゼントします(ウソ)。ご希望の方は〒住所・氏名・年齢・職業・誕生日・好きな審判名を明記の上、 uso800◎classicajapan.com までご応募ください。抽選もしませんし、賞品の発送もいたしません。

August 20, 2013

対決。ラン・ランvsラトル

ラン・ランとラトル●「うりゃ!」
●「どや!」

August 19, 2013

ゾンビとわたし その28 映画「ワールド・ウォーZ」

●お盆。地上が帰省ラッシュとなるように、あの世からこの世へと帰ってくるためのご先祖様ハイウェイも大混雑となる。そんな地上に死者たちがあふれかえるこの季節に映画を観るとすれば、もちろんそれはゾンビ映画しかない。ブラッド・ピット主演というメジャー感に反して、史上最多登場ゾンビ数記録を更新するような特盛映画、それが「ワールド・ウォーZ」(マーク・フォースター監督)である。
●この作品の特徴を一言でいえば、「家族みんなで楽しめるゾンビ映画」といったところだろうか。エグくない。目を背けることなく、安心して鑑賞できるのがすばらしい。グロいゾンビの時代は終わったのだ。シリアスだが、ぷっと吹き出す場面もある。ゾンビのタイプとしては近年流行の「疾走するゾンビ」で、瞬発力や脚力、腕力など一段と生前よりパワーアップした闘争的ゾンビ像が描かれている。フィラデルフィアの街のど真ん中に感染者があらわれる。猛ダッシュして飛びついてガブッ! 噛まれると12秒でゾンビになる。そいつがまた猛ダッシュしてガブッ! 噛まれたヤツがガブッ! さらにガブッ! ガブッ! ガブッ! 大都会では感染者がきわめて短時間の間に増殖するというプロセスが明瞭に描かれる。
●ハイライトシーンはゾンビの大群の壁よじ登りシーン。世界のほとんどがゾンビ禍に覆われる中、イスラエルは分離壁によって感染者の侵入を防いだ。しかしその高い壁に向かってゾンビの大群が押し寄せてくる。彼らは壁を登れない。だが、なんということか。あまりの大群であるため、押し寄せたゾンビたちの群れの上にゾンビが折り重なり、さらにまたその上にゾンビがよじ登り……といった具合に、砂山のようにゾンビが積み上がり、ついに頂上のゾンビが壁に到達するのだ。その蠢く大群を描写したシーンだけでも、この作品はゾンビ映画史に名を残すだろう。一本の矢は容易に折れるが、三本の矢が束になれば折れない。一人のゾンビでは登れない壁も、何千何万ものゾンビが束になれば乗り越えられる。毛利元就も納得のゾンビ・モブシーンである。

●なお、以前に原作も紹介しているが、映画との関連はかなり薄い。原作より映画のほうをオススメしたい。
●ところでやっぱりアメリカってクルマ社会なんだなと思ったのが、冒頭フィラデルフィアのパニック観戦シーン。ああいう感じになるのね、と。これが東京だったら、ああはならない。きっとシーンはこんなふうに始まる。ラッシュ時の山手線、原宿駅で感染者が乗り込んでくる。電車はぎゅうぎゅう詰めだ。ゾンビは車内でダッシュする必要なんかない。というか、ダッシュできない。隙間がまったくない。だから目の前の人間をガブッと咬む。咬まれたヤツはすぐにゾンビになる。そして目の前をガブッ。こうしてゾンビたちは一歩も走ることも歩くこともなく、ひたすら静的に、しかし急速に感染が進む。そして電車は渋谷に到着する。もう乗車してるのは全員ゾンビだ。停車してドアが開いた瞬間に、電車の中からどっとゾンビがあふれ出て、ホームで整列して待っている人々にかぶりつく。逃げ場なしのゾンビ入れ食い状態。渋谷の駅はあっという間にゾンビで埋め尽くされる。彼らが駅からあふれ、スクランブル交差点に向かう。ちょうど信号が青になって、向こうから歩いてくる人々に、こちら側から一斉にゾンビが襲いかかる……。
●どう考えても東京での感染速度は世界最速級になるはず。自家用ヘリコプターでもないかぎり、逃げ場はない。

>> 不定期終末連載「ゾンビと私
August 16, 2013

東京フィル「ハートフルコンサート2013」

東フィル ハートフルコンサート2013●8月15日は尾高忠明指揮東京フィル「ハートフルコンサート2013」へ(東京芸術劇場)。毎年この日に黒柳徹子さんの司会で開かれる演奏会で、楽しいトークの合間に平和への願いやUNICEF親善大使としての最近の活動についての報告がさしはさまれる。今回は、今年3月に訪れた南スーダンについて。長期化した内戦の末に独立した国家であり、特に子供たちへの医療施設が不足していることや学校教育が切実に求められていることなど。こういったトークがあっても、雰囲気が辛気臭くならず、なおかつ客席の共感を得られるというのが黒柳徹子さんのお人柄。ほかの誰にもできない。「アフリカの出来事に関心を持ってほしい」というメッセージ。
●で、今回は20周年を迎えたJリーグとのコラボレーション・コンサートということで、ゲストが川淵三郎キャプテンだったんすよ。選曲はヴェルディ「アイーダ」の「凱旋行進曲」以外はそれほどサッカー由来というわけではなかったんだけど、入口にJの各チームのシャツを着用したスタッフの方々がいたり、Jリーグ杯のレプリカが飾られていたり、プログラムに大東チェアマンの挨拶が載っていたりと、サッカー成分は高かった。黒柳徹子さんからもポンポンとツボに入る名言が飛び出した。「本田さん、昨日の試合でも球をお入れになったんですって」。
●川淵キャプテンへのサプライズ演奏として、東フィルが「翼をください」を演奏した。すると、舞台上で聴いていた川淵キャプテンが涙ぐんでいる。「苦しかったフランスW杯予選でサポーターたちが、『フランスへと飛びたつ翼をください』とこの曲を歌ってくれたことを思い出す」。そう話しながらも涙が止まらない。
●あのフランスW杯の最終予選の苦しい道のりはサッカー・ファンには忘れられないものだった。しかしスタジアムで「翼をください」が聞こえてきたときにはのけぞった。え、そんな選曲ありえない。殺伐としてささくれ立った最終予選の空気と、この曲から感じる学校教育的なイメージがまるで合致していないような気がして。でも、重圧にさらされていた当事者にとっては胸を打つ選曲だったのだなと、今頃になって知る。

August 15, 2013

ニッポンvsウルグアイ@親善試合

ウルグアイ●インターナショナル・マッチデイに開催されたウルグアイ戦。やはりザッケローニ監督は柿谷をトップに起用してきた。長友がコンディション不良で使われなかった点を除けば、予想通り海外組ベストメンバー+柿谷という布陣で、今回の試合はレギュラーメンバーと東アジアカップ組の相性をテストするために必要な選手だけを呼んだという感ありあり。監督の采配もこの試合に勝つためのものではなく、柿谷、交代出場の豊田、伊野波、山口螢のテストを優先したようにも見えた。
●GK:川島-DF:内田(→駒野)、吉田(→伊野波)、今野、酒井高徳-MF:遠藤、長谷部(→山口螢)-岡崎、本田、香川-FW:柿谷(→豊田)。交代枠はまだまだあったと思うが、あまり代えてしまうとテストにならないということか。
●試合はニッポン 2-4 ウルグアイ。フォルランと本田がそれぞれ見事なフリーキックを決めた。ウルグアイはさらに何点か入れるチャンスあり。ニッポンの守備はミスが多かった。全般にニッポンがボールを保持するけど、ウルグアイが手数をかけない効率的な攻めでチャンスを手にするという展開。スアレスがボールを持って前を向くと迫力がある。
●欧州のシーズン開幕時期とあって、お互いに軽めのプレイが多くなりがちではあったかもしれない。それにしても守備が。遠藤、長谷部のセントラルミッドフィルダー、さらに両サイドバックが攻撃的であるというザックのチームが、裏目に出てしまった。酒井高徳はせっかくの先発の機会だったのに。遠藤、長谷部のセットもブラジルまでこれで行くのだろうか。山口螢は悪くないが、細貝という守れる人材はすでにいる。しかし今から心臓部をバージョンアップさせられるものかどうか……。
●で、トップ。柿谷はやはりうまい。でも強さはない。今日の本田ははっきりと柿谷を使おうとしていた。柿谷だと、ますます前線が「優雅に」なる。豊田はファイトできるが、みんな彼にボールを預けようとしないし、放り込みたくなるほど高いわけでもない。やっぱりベストコンディション時の前田はよかったなあと思ってしまうのだが、それでは振出しに戻ってしまう。
●ザッケローニはトップに岡崎を使う気はないんすよね(わからんでもない)。これで、ブラジル大会になったら、本田をトップにして、中盤から一人減らしてアンカーに細貝あたりを起用すると、前回大会の岡田ジャパン布陣に戻ってしまう(笑)。
●スアレスみたいなのが一人いれば、そいつで決まりなんだけどなー。ウルグアイって人口たった340万人っすよ。そこにどうしてスアレス、フォルラン、カバーニ(今回来てないけど)みたいなフォワードが同時にいるんすかね。

August 13, 2013

雷鳴と稲妻、リアルに

夏●全国各地で最高気温が40度を超える夏。気温ってのは日陰の温度なわけで。もう33度くらいだとひんやり感じそうな勢いで進化中。どこまで上昇するんすかね、気温ってのは。そして真に注目すべきは最高気温より最低温度。数日前、東京の最低気温が30.4度で記録更新したんすよね。早朝に窓開けたらヌルッと生暖かい空気が流れてきた。24時間体制でエアコンを稼働させる哀しみ。
●そして夕方になると激しいゲリラ豪雨と雷鳴が。一昨日の雷もスゴいと思ったが、昨日はさらに強烈で、空は明滅し、轟音が鳴り響き、夏休みにふさわしく天然エレクトリカルパレード状態。都内各地で停電が起きた。この時期にエアコンからなにから止まるのも悲惨だが、タイマーで起動させた炊飯器が途中で切れていたというだれかのつぶやきに涙。

August 12, 2013

週末フットボール通信~大宮監督解任&ザックのウルグアイ戦メンバー編

●大宮アルディージャがベルデニック監督をまさかの解任。昨季から今季にかけて21試合連続不敗のJ1記録を打ち立て、今季は序盤から首位を快走、一時は独走態勢に入りそうな勢いがあったのに、ここに来て5連敗で急降下。引分けのあるサッカーで5連敗はたしかにひどい。でも、昨季までの残留争いの常連がここまで順位を上げたのに解任とは。傍目にはノヴァコヴィッチのケガによる戦線離脱でチームが崩壊したように見えるわけだけど、実のところはわからない。試合見てないから。しかし惜しい。強い時期に一試合くらい観戦しておくべきだった……。
●で、ニッポン代表なんすけど、14日(水)に宮城で強豪ウルグアイと対戦する。ザッケローニが選んだメンバーは、欧州組と東アジア・カップで活躍した国内組のミックス。乾や細貝などこれまで「常連の控え」になっていた欧州組が呼ばれなかった。これは東アジア・カップをきっかけに代表内での序列が変動したというよりは、欧州のリーグ戦が開幕直後だったり開幕直前だったりするので、この微妙な時期にベンチに置く選手に長距離移動を強いるのを避けた、ということなんだろう。FIFAのカレンダー上は14日はインターナショナル・マッチデイなので、呼ぶ気になれば呼べたわけだが、やはり欧州と日本の物理的な距離の大きさはこういうときにハンディになる。
ウルグアイ●ウルグアイはカバーニは欠場だが、スアレス、フォルランはそろっている。タレントぞろいにもかかわらず、現在進行中のワールドカップ南米予選では5位と不調。もしこのまま5位で終わるとアジア5位とのプレーオフになる。すでに出場を決めているニッポンよりもウルグアイにとってのほうがシリアス度の高い試合になるのでは。
●ニッポンの先発はきっと欧州組中心ベストメンバー+トップに柿谷、後半から豊田、工藤、山口、青山と徐々に選手を東アジアカップ組に入れ替えていくイメージか。欧州組は酒井高徳のみ控えスタートで、たぶん後半から入る。ちなみにセンターバックはマリノスの栗原が落選して、森重に加えて伊野波が復活している。ザッケローニは控えの一番手を栗原と伊野波のどちらにするかで延々と迷い続けているみたい。森重の逆転は十分ありうる。

August 9, 2013

フェスタサマーミューザでインキネン&日フィル

サマーミューザのうちわフェスタサマーミューザをもう一公演。ミューザ川崎でインキネン&日フィル。インキネンはこの一公演のために来日したのだとか。曲はワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲、モーツァルトのピアノ協奏曲第21番(原田英代p)、ベルリオーズの幻想交響曲。
●この日は平日19時開演で休憩ありの通常の長さのコンサート。まずは15時半からの公開リハーサルへ。目視で300名ほどの来場。先日のエッティンガー&東フィルは何度も止めながらみっちりとリハーサルしていたけど、こちらは本番直前の最終チェックといったところで淡々と進んだ。インキネンからのリクエストもごくわずか。その分、本番になると「スイッチが入った」感がありあり。「マイスタージンガー」を振るインキネンにときどきティーレマンの「どぜうすくい」が憑依してたような……。モーツァルトのソロは出色。自在で即興性豊か。第1楽章と第3楽章の耳なじみのないカデンツァはだれの?(※追記:第1楽章がブゾーニ、第3楽章がシュニトケだとか)。 第3楽章で入るアインガングもカッコいい。この曲、実演での演奏頻度が高い割にはモヤモヤした気分になることが多いんだけど、溜飲を下げた。
●メインの幻想交響曲は進むにつれて熱くなった。客席は大喝采。最近やたらこの曲を聴く機会が多い気がするが、燃焼度では最強。「北欧の貴公子」然とスタートして「炎のインキネン」で終わった。

August 8, 2013

サバ缶ダイエット必勝法

サバ缶LOVE●まず大量のサバ缶をゲットする。→積みあがったサバ缶を前にして、これを食べて痩せようと強く決意する。→しかし、サバ缶を開ける前に冷静に考える。この山のようなサバ缶を食べるより、食べないほうがさらに痩せるにちがいない。→サバ缶を食べない。→何も食べない。→痩せる、必ず。
●告知。USENのサイトの「聴きたい!知りたい!クラシック」で、新連載「音楽家のサイドストーリー」をスタート。これからクラシックに親しみたいという方に。月イチのペース。クラシック系チャンネルの企画内容に応じて、第1回はプロコフィエフで。

August 7, 2013

フェスタサマーミューザでエッティンガー指揮東京フィル

フェスタサマーミューザ2013●ふたたびフェスタサマーミューザでミューザ川崎へ。6日はエッティンガー指揮東京フィル。ヴェルディ&ワーグナー・プロ、ソプラノ吉原圭子、バリトン与那城敬。平日15時開演、休憩なしの短いプログラム。
●せっかくミューザまで来てそれだけというのももったいないので、午前11時30分からの公開リハーサルにも出席することに。リハーサルにも200~300名が来場。みっちり1時間半ほどリハーサルしてくれて、とてもおもしろかった。効率的で要求が明確で、ディテールの彫琢をしっかりすることで、全体としてよりメリハリの効いた音楽を作り出す。アンコールまでやるのでネタバレ感はあるけど、そこはみんな承知の上。公開リハは自由席なので、P席側に座れるのが吉。こちら側に座らないと、モゴモゴ響いてしまって、なにを言ってるんだかわからない。
●曲はヴェルディ「運命の力」序曲、「椿姫」第1幕前奏曲&「そはかのひとか~花から花へ」、「ドン・カルロ」より「終わりの日は来た~カルロよ聞け」、ワーグナー:「ワルキューレの騎行」、「タンホイザー」より「夕星の歌」&序曲。弦楽器は対向配置で第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンの並び、下手奥にコントバラス。
●対向配置っていっても、実際のホールだと(特に座席が舞台から遠いと)CDで聴くほどのステレオ効果は感じられないもの。でも「椿姫」第1幕前奏曲のあの繊細な冒頭は第1、第2ヴァイオリンだけで始まるので、はっきり左右に分かれて聞こえるのが効果的。これにヴィオラとチェロが加わるんだけど、チェロはソロなんすよね。一人のチェロが「両手に花」状態になる。美しい。ヴェルディ、天才だなあ。
●前半ヴェルディと後半ワーグナーの間に、休憩はなかったが、マエストロ・トークがあった。イスラエルに生まれたエッティンガーにとって、ヴェルディは子供のころから親しんできた大作曲家だが、ワーグナーはそうではない。イスラエルではいまだワーグナーはタブー、自分の世代ももっと若い世代もワーグナーにはなじみがない。ドイツに移ってワーグナーを勉強することができた、等々。そのエッティンガーがベルリン国立歌劇場でバレンボイムのアシスタントを務め、新国立劇場では「ニーベルングの指環」を振ったわけだ。

August 6, 2013

われPCの復活を待ち望む

PCの中●PCというのは、なんでもないときはひたすらなんでもないが、突然機嫌を悪くして時間を奪うもの。使用中、唐突に画面にブルースクリーンがあらわれた。今使っているデスクトップは4年前の年末に購入したもので、Windows Vistaが載っている。非常に安定しており、こんなの見るのは初めて。「初めてこの画面を見た場合はリブートしろ」みたいなことが書いてるので、強制的に電源を落として再起動すると……いや、起動しない。焦る。電源は入る。ファンが回り出す音は聞こえるが、その先に進まず。画面にはなにも映らず、HDDも止まっているっぽい。さて、困った。暗澹たる気分になって頭を抱えた。
●今どきデータはクラウド上とかサブマシンにもあるので、なくなって困るということはない。しかし、PCが動かないというのはきわめて不快で、落ち着かない状態だ。いったんこのマシンを放置して、ノートPCで仕事を続けるのが冷静な態度という気もするが、どうにもこの状態を放っておけない。こいつを復活できそうなのか、あきらめて後継機をすぐにでも発注すべきなのかだけでもはっきりしたい。
●そういえばこのマシン、最近長らく中を掃除していない。以前はたまにPCケースを開けて、埃を取ったりもしていたけど、2年前に一度修理に出して電源ユニットを交換してもらって以来、ずっと放置している。埃による熱暴走的な線を疑い、ケースを開いて中を見てみると、案の定ひどいことになっている。ケースの排熱孔からして埃がたまっているが、ファンはどれも埃まみれ。CPUファンにはびっしり埃がついていて、綿棒でこすると怖いくらい取れる。綿棒とお掃除用の埃吸着シートみたいなヤツで軽く掃除した。
●で、ケーブル類を全部つなげてから、深呼吸してPCの神様に祈った。「エロイム・エッサイム、エロイム・エッサイム、メネ・メネ・テケル・ウパルシン、上上下下左右左右BA……バルス!!」
●電源ボタン押したら、スクッとWindows、立ち上がったね。もう何事もなかったかのごとく。
Open Hardware Monitorをインストールして、CPUの温度を表示させると45~55℃程度で、排熱に関しては問題なさそう。とはいえ、トラブル前に何度だったのかはわからないし、原因がホントに熱だったかどうかも確かではない。いろんな可能性を考慮しつつも、今のところは快調。

August 5, 2013

夏休み特別公演「N響ほっとコンサート」

●4日(日)は夏休み特別公演「N響ほっとコンサート」へ。恒例のファミリーコンサート的な公演で、NHKホールに大勢の子供たちが詰めかけた。山下一史指揮。今年のテーマは「オーケストラと踊ろう」。古今の様々な舞曲を集めた選曲で、前半にバッハの管弦楽組曲第3番のガヴォット(久々にモダンオケの演奏で聴いた)、ラヴェルの古風なメヌエット、ヨハン・シュトラウス「皇帝円舞曲」他、後半はチャイコフスキーのバレエ音楽をいくつかとストラヴィンスキーの「火の鳥」から「魔王カッチェイの踊り」「子守唄」「終曲」。
●子供はつまらないとすぐ飽きる。特に最初が肝心。幕が開けると、司会や指揮者のあいさつを入れずに、すぐにバーンスタインの「キャンディード」序曲を始めて、引きしまった演奏でビシッと客席の心をつかんだ。ファミリーコンサートでの演奏のクォリティと子供たちの行儀のよさには正の相関があると改めて確信する。トークの分量のバランスもほどよく、後半のチャイコフスキーでは牧阿佐美バレヱ団のバレエも加わって、長さを感じさせない構成になっていた。最後がストラヴィンスキーで盛りあがるのもいいっすよね。
●開演前と開演後の時間帯には、ロビーのあちこちに楽器体験コーナーが設けられる。N響メンバーやスタッフといっしょにオーケストラの楽器を触って音を出してみようという趣向。子供たちだけじゃなくて年配者たちの参加率も高いのが特徴。おじいさんおばあさんとお孫さんっていう夏休みらしい組み合わせもちらほら。
●バレエのコーナーの途中で司会の岩槻里子アナウンサーが客席に「バレエを習ってる方、習ったことのある方は手を挙げて~」とやったら、あちこちからパラパラパラパラと挙手があったのには驚愕。みんなそんなにバレエ習ってるもの? そういう客層だから?

August 2, 2013

ラトル&ベルリン・フィルの新譜にWarnerのロゴ

ラトルのラフマニノフ「鐘」●ラトル&ベルリン・フィルの新譜はラフマニノフの合唱交響曲「鐘」&交響的舞曲。で、この輸入盤のCDジャケットを見ると、右上にEMIのロゴではなくWarnerのロゴが入っている! ええっ。あの赤いEMIのロゴはもう使われないの? これまでの旧譜の発売会社はどうなるんでしょう?
●おさらい。少し前まで世界の「メジャー」と呼ばれるレコード会社には、ユニバーサル、ワーナー、EMI、ソニー、BMGの「五大メジャー」があった。クラシックのレーベルで言うと、ドイツグラモフォンやDECCAはユニバーサルに、TeldecやEratoはワーナーに、RCAはBMGに属していた。で、2004年、ソニーとBMGが合併した。新たにユニバーサル、ワーナー、EMI、ソニーの「四大メジャー」体制になった。
●で、昨年、ユニバーサルがEMIのレコード部門を買収することになった。これでユニバーサル、ワーナー、ソニーの「三大メジャー」になったわけた。これに伴って今年から日本法人も経営統合されて、ユニバーサル ミュージック合同会社がEMIミュージック・ジャパンを吸収合併している。
●が、ここからさらに新たな展開があって、EMI傘下だったParlophoneレーベル・グループについては、ワーナーに譲渡されることになった。で、ここにはEMIクラシックスやVirginクラシックスが含まれている(Warner to buy the Parlophone Label Group / EMI Classics and Virgin Classics are part of the package)。クラシックに関して言えば、EMIがユニバーサルに移ったと思ったら、今度はワーナーに移るというわけだ。国内ではすでにEMIの新譜の宣伝をユニバーサルが行っているというのに、いったいどうなるんだろう……と思っていたところに、上記のようなラトル&ベルリン・フィルの新録音が登場。ワーナーのサイトにも、こんなアルバム情報ページができている。

August 1, 2013

雷ガード

●最近、突然のゲリラ豪雨が増えているような気がするんだけど、気になるのは雷。雷によるパソコンや通信機器の被害をときどき耳にする。これは主に誘導雷サージによるもので、コンセントや電話線を伝って過電圧が電気機器にかかるためだとか(参照「落雷からパソコンを守る」四国電力)。仕事中に激しく雷が鳴りだすとPCをどうするかはいつも迷うところだが、PCの電源を落としても被害を防げるわけではない。かといって、いちいち電源ケーブルやら電話線を引っこ抜いたりなどできるはずもなく、これまでは「まあ、いいか」と運任せにしていたわけであるが、こう頻繁に雷雨があると最低限の対策くらいはしたほうがいいんじゃないかという気になった。
雷サージ付コーナータップ●で、導入したのは、 雷サージ付コーナータップ雷ガードタップ、それにテレフォン雷ガード。内蔵された吸収素子(バリスタ)の働きで、一定程度の電圧までは機器を守ってくれる。コーナータップのタイプがもっともお手軽で、すでに使っているタップとコンセントの間に入れればいいわけだが、コンセント回りをすっきりさせたい場所にはOAタップ型のものを使うことにした(家電Watchのレビューも参照)。PCと周辺機器、モデム、ルーター等、あとはテレビ(PCみたいなものだし)を中心にガード。電話線も一応。
●これってどれくらい効果あるんすかね。過信は禁物という気もするが、気分的にはすっきり。しかもなんだか楽しい、新しいアイテムを導入できて。今後は雷が鳴ったからといっておろおろとPCを落としたりするのではなく、おへそを優先的にガードしたい。

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