●3日はカンブルラン指揮の読響定期へ(サントリーホール)。シーズン初っ端から最高水準のコンサートに出会えるとは。プログラムは前半にブリテンの弦楽とヴィオラのための「ラクリメ」(鈴木康浩独奏)、「シンフォニア・ダ・レクイエム」、後半にウストヴォーリスカヤ(ウストヴォルスカヤ)のコンポジション第2番「怒りの日」、ストラヴィンスキーの「詩篇交響曲」という見事な構成の「祈り」プロ。
●「シンフォニア・ダ・レクイエム」も「詩篇交響曲」もこんなに美しい曲だったのかと認識を改める。ブリテンって個人的にはずっと肌の合わない作曲家だと思ってたんだけど、昨年の新国「ピーター・グライムズ」といい、この「シンフォニア・ダ・レクイエム」といい、ライブで聴いたときの鳥肌立ち具合がスゴい。「詩篇交響曲」は新国立合唱団が歌った。精妙さでも抒情性という点でも、今までに聴いた「詩篇交響曲」はなんだったのというくらいの水準。弦楽器がチェロとコントラバスだけなので、オーケストラの配置は通常ヴァイオリンが並ぶ左端からピッコロ、フルート……と指揮者を囲む。鈍色の響きに合唱が溶け合う。あ、ヴァイオリンが他の楽器より先に帰れるオケのプログラムって他にあるのかなあ。ブランデンブルク協奏曲第6番? そんな曲で終わるモダンオケの演奏会なんてないか。
●「ラクリメ」は鈴木康浩さんのヴィオラがすばらしい。普段からこのオーケストラのヴィオラ・セクションは光彩を放っている。ウストヴォーリスカヤは怪作。木製の箱(木槌でガンガン叩く)とピアノとコントラバスのみという簡素な編成で、凄烈な打撃音が連続する。怒りというかもう怨念こもってますみたいなドロドロっぷり。完全にフォースのダークサイドに堕ちそうなところをカンブルランのスマートな指揮が救ってくれた。
September 4, 2013