●先週末の「ワルキューレ」第1幕祭は6日のインキネン&日フィルへ(サントリーホール)。エディス・ハーラー、サイモン・オニール、マーティン・スネルの歌手陣が超強力。演奏会形式ではあるが、演技も入り(なので暗譜)、字幕もあったので、オペラ「ワルキューレ」をがっつりと満喫した手ごたえあり。もともとこの第1幕って動きのない対話劇だから、これだけで十分かと思うくらい。そしていかに演奏会形式であっても、字幕の効力は絶大と認識。これって主人公が生き別れになった妹が結婚して暮らしている家庭に迷い込んでしまい、喜びのあまり妹に嫁になれって言って駆け落ちするカオスな話なんすよね。字幕を読んで「はあああ?」って(心のなかで)ツッコミ入れるのも「ワルキューレ」の(てか、オペラの)醍醐味。
●オニールは「ヴェーーーーーーールゼ!」をいったい何秒伸ばしたんだか。伸ばしたいだけ伸ばす。爽快すぎてもう笑うしか。
●インキネンのワーグナーは流麗で抒情的なワーグナーというか。個人的にはもっと彫の深いワーグナーを期待したいんだけど、これだけ歌手陣が盛りあげてくれれば言うことなし。客席は大ブラボー大会。こんなにテンションのあがる音楽はない。ノートゥングを振り回しながら森を駆け抜けるジークムントになった気分で家路につく、右手に折り畳み傘を握りしめながら。
September 9, 2013