September 17, 2013

大井浩明/ベートーヴェン:ピアノソナタ全32曲連続演奏会~第1回

●16日は台風で大雨。昼間の公演はそれぞれ主催者側は難しい判断を迫られたと思う。が、夕方からはすっきりと晴れて爽やかな気候に。秋。
●で、夜は淀橋教会で「大井浩明/ベートーヴェン:ピアノソナタ全32曲連続演奏会~様式別・時代順のフォルテピアノ(古楽器)による~」の第1回。単に古楽器によるベートーヴェン演奏というだけではなく、作曲年時点ですでに存在していたタイプの楽器を用いて、作曲者の先進性をあらわにしようというシリーズ。したがって、今回は1790年頃のアントン・ヴァルターを用いていたが、シリーズが進むと使用楽器も変わる。以前に京都で開かれた同様企画の東京公演。
●よく考えてみると不思議な気もするんだけど、ベートーヴェンを古楽器オーケストラやモダン・オーケストラのピリオド寄り演奏で聴く機会はそれなりにあるのに対して、ソナタをフォルテピアノで聴く機会ってそんなにはないんすよね。オケのほうが興行的に大仕掛けなのに。なので、気分としては見たことのある光景を違う遠近法で見るような気分。モダンピアノ基準で眺めると、外枠であるキャンバスのサイズはうんと小さく見える。逆にキャンバスのなかに描かれた絵のサイズはうんと大きく見える。作家はキャンバスいっぱいいっぱいの枠を使ってはみ出さんばかりに絵を描いている。普段リサイタルの前菜にように配置されるベートーヴェンの初期ソナタが、巨大な楽想を持った作品として迫ってくる。ソナタ第3番ハ長調が熱かった。こんなド派手な曲だったの、的な。逆に比較的聴く機会の多い第1番ヘ短調は拡大鏡を用いない原寸の手ざわり。
●第2回は9/23で第5番から第8番「悲愴」まで、第3回は10/14で第9番から第11番(+第19番と第20番のソナチネ)と続く。淀橋教会のチャペルはなかなか居心地いいっすよ。

このブログ記事について

ひとつ前の記事は「新日本フィル記者発表会にメッツマッハーとハーディング」です。

次の記事は「ミラノ・スカラ座来日公演で「リゴレット」」です。

最新のコンテンツはインデックスページへ。過去に書かれた記事はアーカイブのページへ。

ショップ