●19日はサントリーホールでパーヴォ・ヤルヴィ&パリ管弦楽団。前回の来日で聴き逃してしまったので、ようやくこのコンビの実演に。久々に異国のオケを聴いたなあという満足感。いや、オケの来日公演はいくつも聴いてるはずだけど、際立って異質なサウンドを耳にしたという意味で。まろやかで明るい響きがひたすら美しい。管はもちろんのこと、弦もこんなに柔らかくて色彩的なサウンドを持っていたとは。
●で、前半シベリウス「カレリア」、リストのピアノ協奏曲第2番(ヌーブルジェ)、後半サン=サーンスの「オルガン付き」。せっかくこのコンビを招いて「オルガン付き」とは少しもったいないような?と思っていたんだけど、これは大まちがい。今まで聴いてきた「オルガン付き」はなんだったのというくらいの鳥肌ポイント満載のサン=サーンス。これまで抱いていた、「苦悩から勝利へ」というベートーヴェン的なドラマをサン=サーンス流に換骨奪胎したカッコいいキッチュ、過剰な華麗さが生み出す眩暈感といった作品観を覆されるような繊細な「オルガン付き」で、いつもは雑然と豪壮に鳴り響くばかりに思えたオルガンが、とても崇高に聞こえてくる。力ずくではない、最後のクライマックスの壮麗さに唖然。
●アンコールはビゼーの「子どもの遊び」ギャロップ、ベルリオーズ「ラコッツィ行進曲」、ビゼー「カルメン」前奏曲と大サービス(前半にヌーブルジェがラヴェル「クープランの墓」メヌエットをアンコール)。拍手が鳴りやまず、最後はマエストロの一般参賀に。上手側から十人ほどの楽団員もいっしょに出てきて、舞台上で所在なげに立っていたのが軽くツボ。
November 6, 2013