●7日、サントリーホールでの内田光子リサイタルへ。バッハ「平均律」第2巻の第1番ハ長調&第14番嬰ヘ短調、シェーンベルク「6つの小さなピアノ曲」作品19、シューマン「森の情景」、休憩をはさんでシューマンのピアノ・ソナタ第2番と「暁の歌」というプログラム。中心となるシューマンの3曲はいずれも最近DECCAからリリースされたアルバムの収録曲。シューマンの豊潤で孤独な詩情が前のシェーンベルクにまで浸みだしていた。いや、バッハにも。すべてにおいて圧倒的な完成度。歌にあふれていた。
●シェーンベルクの作品19は彼のピアノ曲のなかでいちばん実演で耳にする機会の多い曲かも。聴衆への無調音楽イントロダクションみたいな? この曲の第2曲は、後半のシューマンのピアノ・ソナタ第2番第2楽章に呼応しているんだと思う。ソナタ第2番、本当に傑作っすよね。熱いマグマの噴流みたいな曲でシューマンの鬱屈した情熱が最大限に発揮されている。若者の葛藤が実体化したような作品が、大人の音楽に成熟していた。
●長いモノローグのような「暁の歌」でプログラムを終えて、アンコールになんとベートーヴェン「月光」第1楽章。暁の空にひそやかに輝く月。
November 8, 2013