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December 9, 2013

マリノス、沈む

マリノス、敗れる●ぬか喜びがサッカーの神様の逆鱗に触れたのであろうか。よもや最後の2節のどちらかで勝てば優勝、仮に連敗しても鹿島が広島に勝てば優勝という、ありえないほど有利な条件で王手をかけていたのにもかかわらず、優勝を逃してしまったマリノス。もう寝込んでしまいそう。
●7日のアウェイ川崎戦、この日は小泉&日フィルの演奏会で小倉朗の交響曲ト調他を聴いたのであるが、もちろん、マリノス戦が重なっていることは承知していた。結果を知りたいのはやまやまだが、生観戦のスリルを疑似的に体験するために(いや、もっと言えば優勝の瞬間を味わうために)、テレビ中継の録画をセットし、終演後は情報遮断に全力を尽くして家路についた。これはそんなに難しくはない。Jリーグの優勝チームが決まったからといって、サントリーホールで「ウヒョー!」と声をあげてマフラーを回すような人はいないから。メールを見ない。Twitterを見ない。Facebookを見ない。Yahoo!を見ない。よし、これでまっすぐ帰るぞ。
●しかし、地下鉄の乗り換えでワタシは見たんすよ。ただ一人、マリノスのユニを着用してそそくさと歩く若者の姿を。うつむきかげんに、無表情で歩いている。ま、ま、まさか? ネットは遮断できても、リアルサポは遮断できない罠。いやいや、彼はたまたま一人で歩いているだけかもしれない。後半の途中でお腹が痛くなって「うぉ、あと少しでマリノスの優勝決定だけど、もうダメお腹痛いから帰るぅ」って言って、急いでるだけかもしれない。落ち着け、自分。
●テレビで見る川崎vsマリノス戦は、まるで前節マリノスvs新潟戦の再放送を見ているかのよう。自分がどんよりと暗い表情でテレビを眺めているのを自覚できる。なんとあっさり失点するチームなのか。後半の途中からまたしても絶望的なパワープレイに走り出した頃には、すでに地下鉄で見かけた若者がどんな気分で歩いていたをはっきりと悟った。あと2点必要だっていう終了直前のコーナーキックでゴールキーパーがあがってくるんすよ。こんな悲しい全員攻撃はない。そして、いつもマリノスの前に立ちはだかるあの試合巧者の鹿島が、こんなときに限ってホームで広島にリードされ、前半の内に大迫が退場している。あのねえ。
●ずばり、どう見ても弱い、このマリノスは。90分間、ほとんど相手の守備を崩せなかった。新潟戦も川崎戦も時間とともに内部崩壊していった感あり。ガチガチ。
最終順位に驚く。1位広島、2位マリノスはいいとして、3位が川崎、4位がセレッソ大阪。終盤まで優勝を争っていたはずの鹿島は5位、浦和は6位。なんと川崎がACL出場枠に食い込んだ。そして逆転優勝した広島。おめでとうございます。ACLまで戦っていたのに、連覇しての優勝。リーグ最少失点で、得失点差でもリーグ1位。文句なし、正真正銘のチャンピオン。ペトロヴィッチ監督が去って森保一新監督になったとき、そこから連覇すると予想できた人はほとんどいなかったはず。偉大すぎてまぶしい。