●15日はトッパンホールでゴーティエ・カプソンとユジャ・ワンの共演。プログラムはシューマンの幻想小曲集op73、ショスタコーヴィチのチェロ・ソナタ ニ短調op40、ラフマニノフのチェロ・ソナタ ト短調op19。これは強烈。シューマンからすでにユジャ・ワンのピアノは伴奏にとどまるものではなく、ラフマニノフでは猛烈にスリリングなデュオが実現。ゴーティエ・カプソンの朗々と歌う音楽の大きさにも感銘。しかし二人とも本当にカッコいい。ユジャ・ワンは前後半で違ったステキすぎる衣装を披露してくれて、どちらも10cm以上はありそうなハイヒール。あの左右非対称なおじぎのスタイルも健在。カプソンもイケメンすぎて笑う(←なんで?)。こんなにカッコよくて、チェロもあれだけ上手いなんてどういうこと? もう自分が独身女子なら楽屋に直行して求婚するレベル。
●アンコールのピアソラ「ル・グラン・タンゴ」で、ユジャ・ワンは紙の楽譜ではなくタブレット端末を持ってきた。譜めくりの方が忙しく立ちあがって画面をタッチする。iPad、なんだろなあ……。Microsoft Surfaceだったら最強(ないか)。客席にデュトワの姿あり。
●14日はサントリーホールでウルバンスキ指揮東京交響楽団。前半はチャイコフスキーの幻想序曲「ロミオとジュリエット」とヴァイオリン協奏曲(神尾真由子)、後半にストラヴィンスキー「春の祭典」。今回もウルバンスキは独特な音楽の作り方で、前回のブラームスと似たような印象。慣習的ではなく、外形的にはアンチドラマ志向なんだけど、制御された色彩や意匠に富んだニュアンスで作品の内側から生命力を引き出してくるというか。変拍子だらけの「春の祭典」でオケに細かくキューを次々と出していくうちに、段々とウルバンスキの動きが妖しさ全開の舞踏に、そして頻出する指揮台上のムーンウォーク。あたかも指揮ロボ。あと少しで両足裏からジェット噴射して浮き上がっていたと思う。サントリーホールの天井がカパッと開いて、フハハハハと不敵な笑いを残しながら天空へと向かうウルバンスキの姿が一瞬見えた気がする。気がする、だけだけど。しかしウルバンスキも相当カッコいい。
●12日はサントリーホールでデュトワ&N響。ラヴェル「クープランの墓」、デュティユーのチェロ協奏曲「遥かなる遠い世界」(ゴーティエ・カプソン)、ベートーヴェンの交響曲第7番という前半と後半でがらりと雰囲気が変わるプログラム。ゴーティエ・カプソンはここでも男前。豊潤で力強い音がする。アンコールにプロコフィエフ「子どもの音楽」から行進曲。超人。ベートーヴェンはデュトワの色がよく出ていた。ホルンは4本に増強、弦は14型かな? 特に前半楽章は描写的で、語り口の巧みさを感じる。全楽章アタッカで、終楽章の爆発まで一気呵成。
December 16, 2013