January 15, 2014

カンブルラン&読響の「イタリアのハロルド」他

●14日はサントリーホールでカンブルラン&読響。プログラムが最強に強まっていて、G.ガブリエリ(カンブルラン編)の「サクラ・シンフォニア」から「カンツォーナ」、ベリオの「フォルマツィオーニ」、ベルリオーズの交響曲「イタリアのハロルド」という変則イタリア・プロ。「時空の広がり」がテーマとなったような演奏会で、時間軸では16世紀末の旋法の音楽、20世紀のモダニズム、19世紀のロマン主義に広がる一方、ホールの音響空間の使い方に趣向を凝らした曲目が並んだ。ガブリエリ作品はオーボエとイングリッシュ・ホルン、ファゴットの木管楽器群、トランペットとトロンボーンの金管楽器群、弦楽五部からなる楽器編成で、近代的なオーケストラに近い楽器配置。一方ベリオはまったく独特で、こんな配置になっている。前後左右にわたって音響が交錯する。
●で、ベルリオーズの交響曲「イタリアのハロルド」。ヴィオラ協奏曲で始まって交響曲で終わるようなヘンテコ度の高い曲なんだけど、こんなに楽しくて壮麗な作品だったとは。ソロ・ヴィオラ奏者の鈴木康浩さん大活躍。ハロルドがオーケストラに負けない雄弁さを誇っていた。仕掛けは終楽章に。早々に出番が終わったとでもいうように、途中で独奏ヴィオラがそそっと袖に引っこんでしまう。あれれ……ととまどっていると、最後にP席側上方から独奏弦楽器群とともに再登場、独奏ヴィオラはP席前方下手側通路に立ち、ヴァイオリン2、チェロは中央のオルガン席のあたりに座って演奏する。昇天したハロルドは高いところからあらわれるのか。奔放な饗宴の合間に出現する一瞬の室内楽。遠近感、立体感に眩暈の愉悦。

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