●東京はすさまじい大雪。都心で積雪27cm。これほどの雪は記憶にないなと思ったら、45年ぶりの大雪だとか。今回は長時間ずっと振り続けるという都内では珍しいパターンで、本格的に積もった。雪国ではこれくらいの積雪は日常茶飯事だが、都心では交通網がすっかり麻痺する。もう電車が止まる止まる。
●その大雪の14日、尾高忠明指揮N響を聴きにNHKホールへ。通常よりも1時間以上余裕を持って家を出たが、中央線まで止まるという事態に悪戦苦闘。バスも活用しつつ、なんとか動いている路線に乗るも途中でポイント故障で停車するなどして、どんどんと時間が過ぎてゆく。渋谷に出て、ここはバスはあてにならないと見て、吹雪のなかをNHKホールまで徒歩で向かった。嵐のなか人気のない異様な渋谷。いつもならなんでもない道のりだが、八甲田山を雪中行軍する気分で必死に歩いた(今日は生中継がある日だから、開演は遅らせられないだろうってことも考えながら)。奇跡的に開演時間ジャストにホールに到着したが、雪まみれの遭難者みたいになっていたと思う。軽登山靴でNHKホールに来たのは初めての体験であった。
●しかしこれだけ電車が止まりまくっていてはどうあがいてもホールにたどり着けない人が過半なわけで、客席は見たことがないくらいガラガラ(3.11直後を少し思い出してしまう)。そしてオール・シベリウス・プロで北欧情緒をこれでもかというくらい満喫。交響詩「四つの伝説」がメインプロという貴重な公演だった。演奏終了後、何度かカーテンコールをしたところで尾高さんが拍手を止めて一言「まだこれからも降るようですよ」といったことをおっしゃって、客席一同レンミンケイネンの世界から現実に引き戻されてカーテンコールはおしまい、家路へ。
●原宿駅か渋谷駅まで歩くかどうか一瞬迷ったが、ホールを出たところの雪を見て心が折れ(写真)、長蛇の列に並んで渋谷行きのバスを待つ。電車はまずまず動いていたがやはり混乱は続いていて、普段の3倍ほどの時間をかけて帰宅した。無事帰れただけでもよしとすべき。
February 10, 2014