●11日、ソニー音楽財団が主催するアラン・ギルバート&ニューヨーク・フィル「10代のためのプレミアム・コンサート」へ(サントリーホール)。子供向けのコンサートっていろんな工夫を凝らしたり手間をかけたりしなければ成立しないものだと思うんだけど、そのあたりがすごくしっかりした公演だったと思う。同じ主催者による昨年のロンドン交響楽団「魔法の冒険」でも感心させられたけど、今回はまた違ったアプローチでニューヨーク・フィルならではの「ヤングピープルズ・コンサート」だったというべきか。
●前半はブリテンの「青少年のための管弦楽入門」と、福島とニューヨークの子供たちが作った「ミュージック・フォー・フクシマ」。冒頭、指揮者が登場するより前にいきなり小曽根真が客席から登場して、司会を務める。で、アラン・ギルバートはなんと日本語で(お母さんが日本人ですけど)ブリテンのナレーター役に挑戦。アシスタントのジョシュア・ワイラースタインがオーケストラを指揮した。アラン・ギルバートがいるのに指揮をしないし、小曽根真がいるのにピアノを弾かないというぜいたくな前半(笑)。小曽根さんのトークが猛烈にうまい。
●後半は通常のコンサートのスタイルになって、アラン・ギルバートの指揮でバーンスタインの「ウェスト・サイド・ストーリー」より「シンフォニック・ダンス」、そして小曽根真独奏のガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」。ゴージャス。小曽根さんの「ラプソディ・イン・ブルー」はナントのLFJでも聴いたばかり。そのときも即興のソロが炸裂していたんだけど、この日はさらに大盛り仕様。これを受けてオケが一段と精彩に富んだ表情を見せてくれた。アンコールではピアノとベースとトロンボーンによる即席ジャズトリオ。小曽根さんがうまく客席をのせて、最後は開放的な雰囲気で終わった。さすが。
●10代のためのコンサートということで、いくつか自分メモ。まず客席は案外大人もいっぱいいる。10代の大半は大人といっしょに来るのでそりゃそうか(大人だけでは入場できないが、子供に同伴する大人は入場できる)。もちろん子供も多い。サントリーホールにティーンエイジャーがたくさんいるというのは新鮮な体験。もう少し普通の公演でも若者を見かけたいもの。
●あと、休憩中、子供たちは案外客席を立たない。そのまま座っている。そうか、彼らはロビーにもトイレにも用はないのだなあ。あと普段は見ない休憩中の光景として、子供たちのなかにはステージに近づいて、団員とフレンドリーに交流している子もいた。アメリカの楽団なので、各自それぞれに舞台に出てくる方式だから、こういうシーンも見られると。前半で指揮をしたジョシュア・ワイラースタイン(若い兄ちゃん風)は後半から客席へ。終演後にワイラースタインを見つけた中学生くらいの子供たちがサインをねだっていた。うむ。彼らが大人になるころにはワイラースタインもビッグスターになっているかもしれない。
February 12, 2014