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February 27, 2014

パヴァロッティ・エディション第1集 ~ 最初の10年間

パヴァロッティ・エディション第1集●どうすか、この精悍な顔つきは。男前だ。しかもなんだか頼りになりそう。有能なセールスマンみたいにも見える。どんな高価な鍋でも売りまくってやるぜー、的な。これがあのルチアーノ・パヴァロッティだなんて!
●デッカ・レーベルの「パヴァロッティ・エディション第1集 ~ 最初の10年間」。27枚組だが、LPサイズの大型ボックスに収められ、ボーナスEPまで付いている(EPってなに? それは遠い昔、はるか銀河の彼方で……)。音楽配信時代を迎えても、この重量感がもたらす所有の喜びは色褪せないのだろう、豪勢な写真を眺めるだけでパヴァロッティの甘く輝かしい声が聞こえてきそう。
王様と私 - 友人、時には敵そしてマネージャーだった私が栄光の王座に就いたパヴァロッティの私生活を修正なしで公開する●パヴァロッティといえば、思い出すのはマネージャーのハーバート・ブレスリンが書いた伝記「王様と私」。なにしろ副題が「友人、時には敵そしてマネージャーだった私が栄光の王座に就いたパヴァロッティの私生活を修正なしで公開する」という物騒なものなのだが、純粋に読み物としてきわめておもしろい。この本で印象的だったのがキャリア最初期のパヴァロッティの話で、彼はギャラの多寡よりも会場の集客のほうにこだわったというエピソード。とにかく客を集めろ、と。まず最初はなにより大勢の客に聴いてもらうことを優先したというのは、後のガッポリ儲けますみたいな話となんの矛盾のない、筋の通った戦略だと思う。なんでもそうだよなー。大勢に聴いてもらう/見てもらう/使ってもらう/読んでもらう、まずはそこから、と。