●27日は大阪へ。いずみホールで「ベルリン・バロック・ゾリステン with エマニュエル・パユ」を聴く。ベルリン・フィルの弦楽器奏者たちによるベルリン・バロック・ゾリステンをヴァイオリンのダニエル・ゲーデが率い、パユがソリストとして参加。チェンバロにラファエル・アルパーマン。今年生誕300年を迎えるC.P.E.バッハの弦楽のための交響曲第5番ロ短調で始まり、パッヘルベルのカノン、バッハのブランデンブルク協奏曲第5番、テレマンのフルート協奏曲ニ長調、バッハ「6声のためのリチェルカーレ」、管弦楽組曲第2番という、パユ大活躍のプログラム。
●パユはやっぱり偉大。完璧さと情熱を併せ持って、音楽の化身となって吹きまくる。レ・ヴァン・フランセで聴いたときも感じたけど、いつも一期一会の公演にすべてを注いでいる感じが伝わってくる。パユが吹くとパユが主役になる。なので、逆説的だけどベルリン・フィル的なキャラクターを感じさせたのはパユがいない曲。最初のC.P.E.バッハが強烈だった。たしかにバロック・アンサンブルなんだけど、全員がバリバリと弾きながらも目の詰んだ緻密な響きを作り出す様子はさすがで、まずほかでは聴けないアンサンブル。唖然とするうまさ。アンコールにC.P.E.バッハのフルート協奏曲ニ短調から第3楽章。ハイテンションで、まさに疾風怒濤。
●いずみホールを訪れたのは初めて。同ホールの広報誌Jupiterに連載を書かせていただいているにもかかわらず今まで足を運ぶ機会がなく、今回ようやく公演を聴くことができた。800席クラスのシューボックス型の中ホールで、クラシカルかつきわめて贅沢な作りのホール。こんな内装のゴージャスなホールは東京にないのでは。音響面もすばらしく、天井が高くて座席数の割には空間の広さを感じさせる。一方でステージは近い。終演後に見学させてもらい、ステージに乗って客席方向を眺めると、最後列でも十分近く感じる。舞台と客席に親密な雰囲気が醸成されやすいのでは。
●パユの公演だとお客さんに若者がとても多くなるのは、首都圏でも同じ。パユももうぜんぜん若くないはずなんだけど、お客さんがいっしょに年をとっていないのがスゴい。
February 28, 2014