●28日は東京オペラシティでメキシコ音楽の祭典「室内楽の夕べ」。この日がリサイタルホールで「室内楽の夕べ」、30日がコンサートホールでホセ・アレアン指揮東フィルによる「オーケストラ・コンサート」という2回構成。「オーケストラ・コンサート」のほうは、チャベスのピアノ協奏曲日本初演やレブエルタス「センセマヤ」「マヤ族の夜」などが並んで猛烈に魅力的なプログラムだったのだが、あいにく都合がつかず、28日の「室内楽の夕べ」のみ参戦。
●ポンセ、チャベス、レブエルタスをはじめ、H.バスケス、ベラスケス、L.A.バスケス、ルイス・アルメンゴールら、未知の作品をたっぷりと聴くことができた。それぞれ作風は多彩で、ラテン・アメリカの香りを濃厚に漂わせるサロン音楽的な作品もあれば、メキシコ民俗音楽に西欧モダン風味がかけあわさったような作品もあり。ギター編、ヴァイオリン編、ピアノ編、メゾソプラノ編と続く、よい意味で芸達者が集ったバラエティ・ショー。最後はアンコールに「ベサメ・ムーチョ」だったし。
●この日の白眉はアドリアン・ユストゥスのヴァイオリン。ポンセの「ソナタ・ブレーベ」、レブエルタス「3つの小品」、ベラスケス「序奏と舞曲」(無伴奏)、ポンセ「ガヴォット」を聴かせてくれたんだけど、雄弁でチャーミング、聴き手の懐に飛び込んでくるような歌心にあふれたヴァイオリンだった。ピアノはゴンサロ・グティエレス。
●昨日30日の「オーケストラ・コンサート」はTwitterを見てるとスゴく盛りあがっていた模様。少し悔しい。猫も杓子もメキシコ音楽だってくらいの熱風が吹いているわけだが、ここで自分が見てる世間はリアル世間のほんのひとかけらを拡大鏡で眺めたものだってことは承知してる。
March 31, 2014