●23日はサントリーホールでネーメ・ヤルヴィ&N響。珍しい曲ばかりが並んだ強烈なプログラムで、R・シュトラウスの「祝典前奏曲」op61、「紀元2600年祝典曲」op84、バレエ音楽「ヨセフの伝説」op63という3曲。どれも編成が巨大で、サントリーホールの舞台上にびっしりと楽員が並んで大変な人口密度になっていた。こういう曲でもサントリーホールの2公演が完売してしまうのだからスゴい。
●ウィーン・コンツェルトハウスのこけら落としのために書かれた「祝典前奏曲」は五管編成。ブラスセクションはホルン8、トランペット4、トロンボーン4、テューバ1にバンダでトランペット6。オルガンも加わる。笑ってしまうほどの賑やかさで、めでたいといえばこれ以上めでたい曲もない。
●「紀元2600年祝典曲」も大人数のブラスとオルガンを要する巨大編成の作品で、加えて打楽器陣が賑々しい。ティンパニ、シンバル、大太鼓、タムタム、グロッケンシュピール、小太鼓、タンブリン、トライアングル、そして鐘。鐘が音程ごとにいくつも必要になるのだが、この鐘というのがどういうものを指すのか、実は事前によくわからなかった。ゴング、つまりタムタムのような金属の円盤を大小さまざまに取りそろえてつりさげたセットを使うのか、それとも日本風の鐘、つまり釣鐘状の形状の鐘をいくつも並べるのか、どうなんだろうと。で、これは会場に入ってすぐに答えが目に入ったわけだが、仏具でいうところの鈴(りん)状のものを大小さまざま並べて(大きいものはかなり大きい)、2名の奏者で鈴棒のようなもので叩いていた。どんな楽器(?)を使うにせよ、想定外の響きではあっただろうけど、見たことのないものを見て、聴いたことのないものを聴いたという実感。機会音楽として、スペクタクル満載。
●「ヨセフの伝説」はバレエ抜きではなかなかどういう場面が描写されているのかわかりにくいかなと思っていたら、そもそもあらすじを読んでもなんの話かさっぱりわからないものだということがわかったので、文脈の追える曲ではないと降参。約1時間の作品。この曲はネーメ・ヤルヴィがスコティッシュ・ナショナル管弦楽団を指揮した録音が昨年Chandosからリリースされたが、いまだにレパートリーを拡大しながら新録音を続けているマエストロの旺盛な活動ぶりは驚異的。公式サイトによればこれまでに417のレコーディングを行なっているのだとか。
April 24, 2014