●ベルリン・フィルのサイトでラトル指揮によるシューマン交響曲全集がリリースされている。自主レーベルでシューマンを出すという話は以前会見で発表されていたが、なるほど、こういうものが出てくるのかと納得。通常の音楽CD2枚組に加えてHD映像を収録したBlu-ray Discがついて(こっちが主役か)、さらにハイレゾ音源をダウンロードするためのダウンロード・コードがセットになっている。おまけにデジタル・コンサートホールの7日間チケットも付く。なにからなにまで全部セットになって€49.90。
●なんというか、従来のレコード会社とは売り方の発想が違っていて、「オレたちが自分たちでやればもっとうまくできる」と宣言しているかのような自負を感じる。従来、CDはCDとして、映像は映像として、ハイレゾ音源はハイレゾ音源としてそれぞれ別個に売られていたものが、「シューマン交響曲全集」というひとつの商品に集約されて売られている。で、€49.90と強気の設定。mp3のダウンロードだったら、今はアルバム1枚10ドルくらいが相場だと思うんだけど、アルバム2枚分のコンテンツ一式で€49.90。パッケージもとても美しくて豪華。
●今、録音物は「聴ければいい」っていう人には限りなく安く(あるいは無料)になって、値段が付くのは「それ以外の価値」の部分になりつつあるなと改めて実感。「それ以外の価値」にはHD映像などいくつかあると思うんだけど、そのなかでいちばん価値が今後も衰えないだろうなと感じるのは「記念品」「お土産」「他人へのプレゼント」としての価値。コンサートに行ったときの自分へのお土産とか、だれかへの贈り物は、インターネット配信よりもモノが圧倒的な優位を誇る領域だと思う。だから、これから生き残るパッケージ商品は外見も美しくなる……んじゃないかな。
April 25, 2014