●これは名作って呼んでいいんじゃないかな。Naxosのウェブサイトで連載されていた漫画が「運命と呼ばないで~ベートーヴェン4コマ劇場」(NAXOS JAPAN、IKE著/学研パブリッシング)として書籍化された。大変おもしろくて、クォリティが高い。ベートーヴェンの物語ではあるんだけど、弟子のフェルディナント・リースに着目して、彼の視点で描くという基本設定が秀逸。リースの「伝記的覚書」他の文献をもとに史実とギャグをバランスよく交えて物語が進められる。登場人物のキャラクター造形も見事で、「現役JK(女子貴族)☆ジュリエッタ」ことジュリエッタ・グイチャルディ嬢がJK口調(?)でしゃべるのとか、むちゃくちゃ笑える。チェルニー少年のこまっしゃれくた感じもホントに雰囲気出てるなあ。背景にあるベートーヴェンが生きた時代、つまり音楽家が宮廷の使用人から自立する芸術家になりつつある時代というのが効いている。4コマのギャグ漫画っていう形態で、これだけストーリー性のあるものを描けるというのも感動。
●実はウェブでの連載時は最初の数回しか読んでいなかったんだけど、書籍になって通して読んで初めてこの連載がどれだけ周到に作られているのかがわかった。あと、これだけ作家性の強い作品の原作者(ネーム担当者)がNAXOS JAPANっていう法人になってるところもいろんな意味でインパクトあり。
May 1, 2014