●29日はオーチャードホールでアンドルー・マンゼ&N響。バロック・ヴァイオリンで知られるマンゼだが、今はもうヴァイオリンを弾かず指揮活動に専念しているのだとか。N響とは以前のN響「夏」でも好演を聴かせてくれた。今回はエルガー「序奏とアレグロ」、元ウィーン・フィルのハープ奏者グザヴィエ・ドゥ・メストレの独奏でモーツァルトのピアノ協奏曲第19番へ長調のハープ版、ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」。最初のエルガーから気迫のこもった演奏で、N響の弦がメラメラと白熱していた。マンゼのイギリス音楽をもっと聴いてみたくなる。
●メストレのモーツァルトは想像したよりは無理のないモーツァルトで、ダイナミクスも案外ある。スタイルとしては典雅で優美なモーツァルト。セクシービーム大放出(←なにそれ)。アンコールに「ベニスの謝肉祭」。「田園」は雄弁。対向配置にもしないし、ヴィブラートも普通にかかってて、弦の編成も十分大きくて、外観としてはまったくのモダン・オケ仕様ながらも、ところどころ独自の語り口を感じさせる、非ロマン的男前ベートーヴェン。傍目にはノリントンがいつもあれだけやってるんだから、マンゼだってその財産?を活用していろいろできそうにも思えるけど、限られた時間のなかでエネルギーを注ぐべき場所はそこではないということなのか。アンコールにロッティ~マンゼ編「十字架につけられ」。
------------
●さて。いよいよ明日からラ・フォル・ジュルネ。というか、本日夜の前夜祭で実質的に開幕する。昨年の「ボレロ」大会に続いて、今回は「みんなで第九・歓喜の歌」という自由参加型イベントが地上広場で開かれる。カオスの予感。
May 2, 2014