June 22, 2014

グループD イタリア対コスタリカ、グループF アルゼンチン対イラン、もはやだれも強豪国を恐れない

イタリア●グループDはイタリア、ウルグアイ、イングランド、コスタリカ。W杯優勝経験国の強豪が三カ国も含まれる死のグループと目されていた。ところが、どうだ。蚊帳の外と思われていたコスタリカが第1戦でウルグアイを破ると、この第2戦ではイタリアを相手に前線からの精力的な守備と切れ味鋭いカウンターアタックによって互角に渡り合い、ついにはブライアン・ルイスのゴールで勝利を収めてしまった。2連勝でまっさきに勝ち抜け決定。次の相手、イングランドはすでに2連敗して脱落が決まっている。3戦目にイタリアとウルグアイが勝ち抜けを賭けて直接対決することになった。コスタリカは3戦目に主力を休ませるだろうか?
●前半44分、PSV所属のブライアン・ルイスが左サイドからのクロスに頭で合わせたのがこの試合唯一のゴール。しかしコスタリカは強豪相手に弱者のサッカーをやってカウンター一発で仕留めたわけでは決してない。有名選手だらけのイタリアに比べて、プレイの質が劣っているとはまったく感じさせない。ブライアン・ルイスのように高くて速くてしなやかで、しかも前線から強烈に守備をするストライカーがイタリアにいるだろうか。ユニフォームの色や選手の名前をわからなくして試合を見れば、どちらが強豪なのか、見分けがつかない。ボール支配率はイタリアが58%と高かったが、シュートの数は両者ともに10本。コスタリカは守っていただけなのではなく、自分たちの戦略にイタリアをまんまとはめたという印象。コスタリカは強い。番狂わせという言葉を使うのがためらわれる。
アルゼンチン●グループF、1試合目でナイジェリアと引き分けたイランは、アルゼンチンと。実はここまでアジアは1勝もしていない。この調子ではアジアの出場枠を減らされても文句が言えない(現状でもかなり優遇されているわけだし)。本来ならメッシを応援したいところだが、ここはアジアの同胞イランを応援。中東勢のなかでもイランに対してだけは親しみを感じる日本のサッカー・ファンは多いと思う。最近、対戦回数が減っているが、監督はケイロスだし、かつてオサスナで活躍した中盤の要ネクナムは健在、前線にはフラム所属のアシュカン・デヤガ、オランダ育ち(U-19オランダ代表)で欧州のクラブを渡り歩くレザ・グーチャンネジャードといったタレントを擁し、やはりアジアの最強国のひとつだと再認識。
●試合は開始早々からアルゼンチンが圧倒的にボールを支配、次々とイラン・ゴールに襲いかかる。これはコスタリカがイタリア相手に「ボールを持たせた」のとは違って、地力の差からそういう展開にしかならなかったというべきか。アルゼンチンは1試合目の途中からと同様に、アグエロ、イグアイン、メッシ、ディマリアという超強烈なアタッカー陣がそろい踏みの形。なかでもディマリアの体のキレ具合が恐ろしいほど。チャンピオンズリーグ決勝からずっと好調を維持している。あれだけ攻撃が鋭くて、なおかつ献身的な守備を厭わないんだから、監督から見てこんなに頼りになる選手はいないのでは。
●イランはアジアの戦いでも本当に異文化を感じさせるチームで、どうしてそこでそんなにヌルいプレイをしてしまうのかと思わせることもある一方で、突然焦点がピタッとあったように迫力のあるプレイを見せることがある。この試合でも途中までは失点は時間の問題のように見えたが、時間とともにカウンターからの決定機が増えてきた。徐々に重苦しいムードが漂うアルゼンチン。後半22分、クロスボールに走りこんだデヤガのヘディングシュート、後半41分、ディフェンスラインの裏に抜け出したグーチャンネジャードのシュートは、どちらもキーパーに防がれたが、アルゼンチンを仕留めていてもおかしくなかった。このまま引き分ければ、イランの強さが知れ渡るところになったはずだが、最後の最後、アディショナルタイムになって、メッシの個人技がアルゼンチンを救った。右からカットインして、ゴール左隅に蹴りこんで1対0。イランは惜しい勝点1を逃した。
●グループFはナイジェリアがボスニア・ヘルツェゴビナに勝ったので、勝点6のアルゼンチンは勝ち抜け決定。もう一枠を勝点4のナイジェリアと勝点1のイランが争う。3試合目でナイジェリアはアルゼンチンと戦う。アルゼンチンは何人か選手を入れ替えつつ、引分け以上で1位通過を狙うはず。これが「引き分けでいいか」の談合試合になってしまうとイランは辛いが、ここまでの内容からしてもアルゼンチンにその余裕はないはず。アルゼンチンがナイジェリアに勝利して、イランがボスニア・ヘルツェゴビナに勝つことができれば、得失点差等の争いになる。イランにはまだチャンスがあると思う。

イタリア 0-1 コスタリカ
娯楽度 ★★
伝説度 ★★

アルゼンチン 1-0 イラン
娯楽度 ★★★
伝説度 ★

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