June 25, 2014

グループリーグ第3戦、ニッポンvsコロンビア、Jリーグをよろしく

ニッポン!●後がない状況で迎えた第3戦、ニッポンはセントラルMFの山口に代えて青山を起用。大迫ではなく、調子のよい大久保を先発させた。直前の親善試合で青山から縦のロングパス一本が大久保に通ってゴールが生まれたシーンがあったが、ザッケローニにはあの場面が頭にあったにちがいない。一方、すでに2勝して余裕のあるコロンビアはほとんどのメンバーを入れ替えてきた。GK:川島-DF:内田、吉田、今野、長友-MF:青山(→山口)、長谷部-香川(→清武)、本田、岡崎(→柿谷)-FW:大久保。
●試合はこれまで2試合とは違って、序盤からニッポンが気迫のこもったプレイを見せて、攻勢に出た。引分けでも1位通過が決まるコロンビアと、勝つしかないという悲壮な決意で立ち向かうニッポンという対戦であればこの展開になるのは自然なことだが、おそらくコロンビアは予想以上に強い圧力をニッポンから感じていたはず。ニッポンは試合の入り方としては完璧だったが、前半17分、ペナルティエリア内で今野がラモスの足にスライディング・タックルしてPK。今野は「ボールに行った」とゼスチャーでアピールしていたが、完全に足に入っていた。これをクアドラードが決めて、コロンビアは一気に楽になった。これでコロンビアはラインをやや深めに敷いて、慎重な戦い方に。ニッポンは一段と中盤での支配を強めて、次々とコロンビアのゴールへと襲いかかる。シュートは打つものの、最後のフィニッシュが決まらない展開が続いたが、前半終了間際、右サイドのペナルティエリア角から本田が供給したクロスに、ニアで岡崎が頭で合わせて同点ゴール。前半は非常に見ごたえがあり、ニッポンのプレイにはスキルも強度もあった。この時点で、裏のギリシャ対コートジボワールはギリシャが1点リードという理想的展開。このままなら1位コロンビア、2位ギリシャだが、ニッポンがコロンビアを逆転すれば2位にニッポンが入る。決勝トーナメント進出への期待ががぜん高まってきた。
●コロンビアを率いるのは智将ペケルマン監督。後半頭から2人を入れ替える。クアドラードとキンテーロを下げて、10番ハメス・ロドリゲス、カルロス・カルボネロを投入。前半、攻撃が持ち味のクアドラードが長友とのマッチアップで手を焼いていた点を修正したい意図もあったのだろう。後半開始からコロンビアは攻勢に出て、ニッポンは受けに回ってしまう。後半10分、アリアスのドリブルからロドリゲス、マルティネスと流れるようにボールが回って、ゴール。ここからはコロンビアは守ってカウンターを狙う形に。ニッポンはよく攻めて、何度か相手ディフェンスを崩していたが、シュートは打ってもゴールが決まらない。終盤は両者足が止まり中盤が間延びした展開になる。ここからコロンビアが試合巧者ぶりを発揮して、前がかりになるしかないニッポンから着実にカウンターでゴールを奪う。後半37分、後半45分と立て続けに得点して1-4に。この時間帯にあれだけ鮮やかにカウンターを決める決定力には感心するしかない。
●ギリシャが2対1でコートジボワールに勝利したので、グループCの2位はギリシャに。あの日本戦で守りに守った堅さが、ここで生きてきたわけだ。2位争いは接戦だったが、終わってみれば、FIFAランキング8位のコロンビアと12位のギリシャが勝ち抜けて、23位のコートジボワールと46位のニッポンが脱落したという、順当そのものの結果になってしまった。FIFAランキング、侮れません。
●ザック・ジャパンはこれでおしまい(のはず)。1分2敗と結果はいいところがなかったが、大会前にも書いていたように主力選手に怪我明けや所属クラブでの出場機会の減少などで調子を落としている選手が多かったことや、チームのサイクルとしてもピークを過ぎていたこともあって、驚きはない。個々の力は明らかに4年前よりはグレードアップしていて、だからこそ4年前の守って耐えるチームではなく、ボールを保持して攻撃するチームというプランをザックは選択できた。時計の針が8年前に戻った、なんてことはまったく思わない。今後、目指すスタイルは次の監督次第でもあるだろうが、どんな監督が就任するにせよ、代表の実力は各プレーヤーが所属クラブでどれだけ高いレベルで戦えているかに大きく依存する。欧州組はぐっと増えたけど、イングランド、スペイン、ドイツの1部リーグで活躍できている選手は中盤やサイドバックなど、まだ一部のポジションに限られている。センターバック、ゴールキーパー、ストライカーといったポジションの人材はまだまだ手薄。このあたりにも海外のトップリーグでプレイする選手が増えてくれれば万々歳だが、もっといいのはJリーグのレベルが上がって、われわれのクラブでプレイする選手がトップレベルでも通用するという日常だろう。そう考えると、かつての中田ヒデの「こんどはJリーグをよろしく」は敗退後のセリフとしてこれほどふさわしいものはないって気がする。
●とはいえ、大会が盛りあがるのはまだまだこれから。ここからが本当のお祭りだ。

ニッポン 1-4 コロンビア
娯楽度 ★★★
伝説度 ★

このブログ記事について

ショップ