●たぶん、世間的にはあまり盛りあがっていないアジア大会2014男子サッカー。この大会って、なんの大会だかよくわかんないっていう人が多いんじゃないかと思う。アジア・カップと区別がついていない人も多いだろうし。だから整理してみよう(←なんでこんな場所で)。
●まずアジア大会ってのはオリンピックのアジア版みたいな大会で、サッカーだけの大会ではない。なので、FIFA(国際サッカー連盟)の大会とは違って、サッカー界のカレンダーを堂々と無視して、レギュラーシーズンの真っ最中に開かれている。もちろん、そんな時期に代表チームなんか編成できない。そこで、男子サッカーに関しては、オリンピックと同様の妥協案をレギュレーションに取り入れた。各チームは「23歳以下の選手、および1チームあたり3名までのオーバーエージ枠」で参加すること。もちろん23歳以下でもバリバリとプロのトップチームでプレイしている選手はいくらでもいるわけで、そういう選手が参加するかしないかは当事者間の問題。
●一方、アジア・カップは来年1月に行われる大会で、こちらはニッポン代表にとって最重要クラスの大会だ。欧州選手権や南米選手権と同じように、大陸別チャンピオンを決めるFIFAの公式戦。4年に一度、世界一を決めるのがワールドカップなら、アジア一を決めるのはアジア・カップ。ニッポンにとっては現実的にチャンピオンを目指せる(そして、事実その座を獲得しまくっている)ほとんど唯一の大会。
●で、ここからが厄介なところなんだが、じゃあアジア大会のためにニッポンはU-23のチームを組むかというと、そうはならない。代わりにU-21を送りこんでいる。2016年のオリンピック本大会でU-23になるチームを今から作っているわけだ。Jリーグ開催中という事情からいっても、これがどうしたって合理的だと思う。ところが、イラクはレギュレーション通り、U-23のチームを編成して、おまけにオーバーエイジ枠でフル代表の選手まで参加させている。だから、先日のグループステージ第2戦、ニッポンvsイラクはまるで階級の違う選手同士の戦いみたいになっていた。この年代の2年の違いはかなり大きい。もともと地力のあるイラクがU-23+オーバーエイジでぶつかってきてるんだから、苦戦するのももっともな話で、ニッポンU-21は1対3で力負けしてしまった。
●でもそう考えると、負けたけどニッポンは強いなとも思うんすよね。それでもあれだけやれるのか、みたいな。続く第3戦、ネパール戦はニッポンU-21が4-0で完勝。2勝1敗で決勝トーナメント進出を決めた。1回戦の相手はパレスチナ。これまでのところ、見ていておもしろい魅力的なチームなので、ぜひ決勝まで勝ち進んでほしいところ。
●ところで、この大会、ベトナムがイランを倒すジャイアントキリングを達成して、グループ1位で決勝トーナメントに進出しているのだが、率いる監督はなんと三浦俊也監督! フル代表の監督と兼任してチームを率いている。プロサッカー選手の経歴を持たないまま(欧州では珍しくもなんともない。ザッケローニもモウリーニョもそう)、ドイツで監督のライセンスを得て、Jリーグで実績を積んだという日本人監督では珍しい経歴の持ち主。これを足掛かりに世界を舞台に活躍してほしい。
September 24, 2014