September 29, 2014

チパンゴ・コンソートのバッハ父子

●26日は東京オペラシティの近江楽堂で、チパンゴ・コンソートのバッハ父子プログラム。今回のチパンゴ・コンソートは杉田せつ子さんのヴァイオリンと桒形亜樹子さんのチェンバロのデュオ。前半が父バッハで、トッカータとフーガ ニ短調(エンリコ・オノフリ編曲の無伴奏ヴァイオリン版)、ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第1番ロ短調BWV1014、平均律クラヴィーア曲集第2巻の前奏曲とフーガ第23番ロ長調他、後半はC.P.E.バッハのソナタ ト長調 Wq62/19、ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ ハ短調Wq78。まったく作風の異なる、というか時代様式が異なるバッハ父子の音楽を堪能(トッカータとフーガが本当はだれの作品かという話はおいとくとして)。オノフリ編曲版のトッカータとフーガはこれまでにも編曲者自身の演奏で聴いているわけだけど、演奏者との距離が至近な近江楽堂で聴くと、まったく違った感銘を受ける。ドーム型の天井が作り出す豊かな残響を伴って眼前に力強い音像が結ばれて、オルガンで聴く際に近い迫真性を感じる。
●エマヌエル・バッハは生誕300年。なるべく今年の内に聴いておきたいわけだけど、どの作品も本当にチャーミングでおもしろい。気まぐれさが生み出すユーモア、変幻自在の情緒表現。シリアスなのかすっとぼけてるのかよくわからない身振り。作品の持つのびやかさ、溌剌とした活力が存分に伝わってきた。

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