September 30, 2014

ブロムシュテット&N響のモーツァルト&チャイコフスキーの三大交響曲

●28日はNHKホールでブロムシュテット指揮N響定期。今月は3つのプログラムで、それぞれモーツァルトとチャイコフスキーの後期三大交響曲を一曲ずつ組み合わせた曲目になっていた。この日は最後の公演ということで、モーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」とチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」。3つのプログラムに足を運ぶことができたが、そのすべてが特別な機会だった。弦楽器は対向配置、モーツァルトでは小さめの編成。アンサンブルの精度が高く、「ジュピター」終楽章における各声部の立体感はまれに見るもの。そして「チャイコフスキーをモーツァルトの延長上にとらえる」というコンセプトが一貫されており、ロマン的な情念を後退させ、古典的均整を際立たせたチャイコフスキーが圧倒的。舞台から客席まで張りつめた空気が充満していて、「悲愴」では第4楽章の後の長い沈黙はもちろん、第3楽章の後にまで息づまるような静けさが訪れた。もう当分、チャイコフスキーの交響曲は聴けないんじゃないかという気分。一般参賀あり。
●ブロムシュテットが指揮台に立ったときは、客席の空気からして違う。ベテランのお客さんも背筋を伸ばすというか。そして、87歳にして指揮台と舞台袖をこんなに軽やかな足どりで往復できるということが信じられない。

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