●23日は銀座で錦織健プロデュース・オペラ Vol.6 モーツァルト「後宮からの逃走」の記者懇親会。テノールの錦織健さんがプロデュースするオペラ・シリーズ、今回は「後宮からの逃走」が2月22日から3月24日にかけて、全国各地で8公演にわたって上演される。会見には池田直樹(太守役)、市原愛(ブロンデ役)、佐藤美枝子(コンスタンツェ役)、プロデューサーでもある錦織健(ベルモンテ役)の各氏が出席(写真左より)。
●少しでも多くの人にオペラに親しんでもらおうというのがこのシリーズの趣旨。錦織さんによれば「コンセプトは旅のオペラ一座。オペラのマーケットは小さい。でも無理やりにでもオペラを見てくれる人の数を増やしたい」。演目は毎回喜劇。スポンサーの協力を得ながら首都圏だけではなく各地での公演を実現している。
●錦織さん自らが「ハーレムから助け出せ!」という副題を付けていて、これには納得。今どき「後宮からの逃走」じゃ、オペラ・ファン以外にはなんの話だか意味不明だもの。
●このシリーズ、これまでは原語による上演だったが、今回歌唱は原語、台詞のみ日本語が用いられる。「今の日本では、台詞のみ日本語というのがトレンディ。かつてはイタリア・オペラを日本語で歌っていた時代もある。今から見れば滑稽に思えるだろうが、訳詞だったからお客さんからのダイレクトな反応が返ってきた。またそういう時代が来ないともかぎらない。もし劇団四季が英語で歌っていたら、あれだけのロングランはできないでしょう? レチタティーヴォ・セッコを日本語で歌うとなれば軋轢も生じるだろうが、台詞だけを日本語でということなら受け入れられやすい」(錦織さん)。「字幕だと舞台より先に客席から笑いが起きてしまうことも。日本語でお客さんにリアルタイムでお芝居を楽しんでほしい」(池田さん)。
●そういえば、大昔に自分が初めて生で観たオペラは日本語歌唱だった。でもその頃は字幕装置なんてものがなかったんすよね。特に高額な外来オペラを見に行くときは、当然原語上演だから、あらかじめ対訳を見ながらレコードで予習して、「どこでなにが起きているかを直前に記憶しておく」ということをしてから生の舞台に臨んでいたと思う。試験前の一夜漬けみたいな感じで、なんだかおかしいんじゃないかと思いつつもしょうがなく。字幕もないのにイタリア語のギャグでちゃんと客席から笑いが起きるのを目にして驚愕した記憶が。それに比べれば今は天国。どこでも字幕はあるから、予習ゼロで行ってもストーリーがちゃんとわかる。ましてや台詞が日本語だったら、なおさら。
October 24, 2014