November 21, 2014

指揮者の変更。マクリーシュ&都響、マリナー&N響

●20日はサントリーホールでポール・マクリーシュ&都響。本来は9月に逝去したクリストファー・ホグウッドが指揮をする予定だったが、マクリーシュが代役に。少し意外な感じもするがこれが初来日。ホグウッドの凝ったプログラムを、曲目変更なしで乗り切った。
●なにしろコープランドの「アパラチアの春~13楽器のためのバレエ」(原典版)、R. シュトラウスの13管楽器のためのセレナード変ホ長調op.7という2曲を聴けるのが貴重。13楽器という小編成で聴く親密な「アパラチアの春」。そういえばこれは田舎の素朴な花嫁と花婿の音楽なんだっけ。メイン・プログラムはメンデルスゾーンの交響曲第5番「宗教改革」(ホグウッド校訂版第2稿)。テューバではなく本来のセルパンを使用(蛇みたいな形のあの楽器です)。ホグウッド校訂版にはメンデルスゾーンが初演の直前にカットを施した部分が復元されているそうなんだけど、この復元部分は演奏されないとのこと。もしホグウッドが振っていたらどうなったんだろう……と考えてみてもしょうがないが、とてもおもしろいプログラムであることはまちがいない。本日21日同プログラムで東京芸術劇場でもう一公演あり。「宗教改革」はメンデルスゾーンの交響曲のなかでもっとも感動的な作品だと思う。
●他人が考え抜いたプログラムをそのまま引き受けて初めてのオーケストラを振るのは大変だったと思うが、次はぜひマクリーシュ自身のプログラムも聴いてみたいもの。
●代役指揮者といえば、15日のN響定期も。本来スラットキンが振る予定が、手術のために急遽キャンセル、なんと代役にネヴィル・マリナーが登場した。スラットキン70歳の代わりに、マリナー90歳っすよ! この日は前半がベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲(セルゲイ・ハチャトゥリアン)、後半にラヴェルの3曲が予定されていたのだが、後半のみブラームスの交響曲第1番に変更されることになった。さすがにマリナーでラヴェルはないか。ブラームスの交響曲第1番は最近同じコンビで演奏しているし、なんの問題もない。ただ、問題はないけど、ラヴェルを聴きにきたお客さんにとってブラームスはどうなのかなあと思っていたら、すごい音がオーケストラから出てきた。気迫にあふれた重厚なN響のサウンドと、マリナーらしい角の取れた温かみのある音楽が一体となった、円熟のブラームス。客席の喝采にも老巨匠への敬意という以上の熱さがあったはず。

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