December 1, 2014

ロスタイムのコーナーキックがドラマを生む!?

●この週末のJリーグ、ロスタイムのコーナーキックからの目を疑うような展開が2度もあった。まず一度目は、土曜日のJ1、鳥栖vs浦和の一戦。一時はもう浦和の優勝は決まったものかと思っていたらどんどん失速して、背中にガンバ大阪が迫ってきたという状況。この日は浦和が1点リードして、なおかつ相手に退場者が出ているという有利な展開のなかで、ロスタイムへ。ところが、後半49分、鳥栖はコーナーキックを得る。長身キーパーの林彰洋も前線に上がる。コーナーキックのボールにあわせたのは小林久晃。見事なヘディングを決めて、まさかの同点に。そのままドローに終わり、浦和はついに得失点差でガンバ大阪に抜かれてしまった。この場面も印象的だったが、その翌日に起きたことはさらに強烈だった。
●日曜日のJ2は、J1昇格プレーオフ準決勝として磐田vs山形が開催。例によって変則的な一発勝負で、リーグ戦上位の磐田のホーム開催で、磐田は引き分けでも決勝に進出できるという有利なルール(のはずだが、このプレーオフが始まってからの2年間、上位チームはこの優位をまるで活かせていない)。1対1の同点で迎えた後半47分、磐田はほぼ決勝進出を手中に収めていたわけだが、山形にコーナーキックを与える。ここで山形はゴールキーパーの山岸範宏をゴール前に上げる。こういうロスタイムの捨て身の攻撃はときどき目にするが、Jリーグの歴史でこの形からキーパーがゴールを決めたことは一度もなかった、この日までは。石川竜也のコーナーキックのボールに対して、山岸が頭でボールをすらして(フィールドプレーヤーでもそうそうできないような絶妙なタッチ)、これがネットを揺らして、山形は決勝進出。磐田は来季もJ2に留まることが決定。名波監督の顔から血の気が引いているように見えた。現役時代の名波は最高の選手だったが、磐田の監督に就任して以降、これで2勝3敗5分。昇格を争ってるのか残留を争ってるのかわからない成績になってしまった。本来こんなものではないはず。
●で、こういう試合を立て続けに見ると、ロスタイムのコーナーキックって怖いなと思うじゃないすか。「ドーハの悲劇」以来、なんど繰り返されてきたことやら。でも、コーナーキックって1/40くらいの確率でしかゴールにならないんすよね、実際には。別にコーナーキックじゃなくても、敵陣深くでマイボールになれば40回に1回くらいはゴールになりそうなもので、そもそもコーナーキックそれ自体に優位性はないという統計もあるほど。
●それでも、「ロスタイムのコーナーキック」は怖いと感じる。仮説は2つあると思う。仮説1は、たまたまゴールが決まった1/40だけが印象に残り、39/40のどうでもいい場面は即座に忘れるから、なんだかコーナーキックは怖く感じる、という統計の「お約束」。仮説2は、たしかにコーナーキック全体での決定率は1/40なんだけど、ロスタイムに入るとなんらかの理由でディフェンスのマークが外れやすくなり(交代選手や疲労などの影響、あるいは攻撃側がキーパーを上げるなど極端なリスクを取るなど)、ゴールの確率が跳ねあがる。どっちがホントなのか、きっとだれかは計算している。

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