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December 29, 2014

ロト&N響の「第九」

●今年の聴き納めはベートーヴェン「第九」。27日、サントリーホールでフランソワ・グザヴィエ・ロト指揮N響。今にして思うと、2007年と08年のLFJでロト指揮レ・シエクルが早くも来日していた(でも早すぎたのかもうひとつ話題を呼びきれなかった)ということがスゴい。あの時点で、数年したらロトがN響の「第九」を振るという未来を思い描いていた人はまずいなかったんじゃないだろか。ていうか、今年はロト&レ・シエクルでレコード・アカデミー賞大賞っすよ!
●この日は「第九」の前にオルガン独奏で4曲。勝山雅世さんの独奏で、ラングレの「中世組曲」から前奏曲、バッハの小フーガ ト短調、コラール前奏曲「恵み深いイエスよ、われらはここに集まり」、ヴィドールの「オルガンのための交響曲」第6番より終曲。一見ばらばらの盛り合わせみたいに見えて、うっすらと4楽章構成が透けて見えるというか、これってミニ「第九」なんじゃないかと思う。
●で、ロトの「第九」、どこまで流儀を通すかと思ったら期待以上で、弦のノン・ヴィブラート、フレージングやダイナミクスへのこだわり、快速テンポなどロトの「第九」になっていた。ノリントンと多数共演してきたN響だからこそという背景はあるんだろうけど、アプローチは近くても、音楽の性格はノリントンとはまるで別物。インスピレーションの豊かさで聴かせるのではなく、造形さえきちんと仕上げればあとはおのずと作品が語ってくれるとでもいうかのよう。熱血「第九」を期待している向きには肩透かしだったかも。でも、客席の反応は悪くない。満喫。勇者ロトの伝説。ぼうけんのしょにきろくする。
●できればロトは定期公演で聴きたい気も。と思ったら、来年の6、7月に読響のほうに出演するのだった。ベルリオーズ「幻想交響曲」、ハイドン「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」等。