●以前にもお伝えしたように、次回のラ・フォル・ジュルネはナントも東京もみんな「パッション」というテーマで開催される。とはいえ、この「パッション」(情熱、キリストの受難)という言葉をどう日本語のテーマに反映させるかは悩みどころで、いったいどうなるかなと思っていたら、東京に先んじて金沢、新潟、びわ湖で正式名称と思われるテーマが発表されている。
●ぜんぶ「パッション」にはちがいなんだけど、それぞれ微妙にニュアンスが違うので以下に並べてみよう。
LFJ金沢:パッション・バロック ~ バッハ、ヘンデル、ヴィヴァルディ~
LFJ新潟:パシオン ~恋する作曲家たち~
LFJびわ湖:パシオン・バロック ~バッハとヘンデル~
●金沢とびわ湖ははっきりとバロックを打ち出している。金沢はバッハとヘンデルとヴィヴァルディが主役。びわ湖ではそこからヴィヴァルディが抜けてバッハとヘンデルの二人になる。ただ金沢は「パッション」だけど、びわ湖は「パシオン」なんである。パシオン……。これってフランス語風ってこと? 主役となる作曲家がはっきり示されているので、実は従来とテーマ設定の仕方自体は変わっていないわけだ。
●一方、新潟は「パシオン ~恋する作曲家たち~」と、まるで女性誌の特集タイトルみたいなノリになっている。この副題からすると、バッハやバロック中心というわけではないということなんだろうか。バッハは「恋する作曲家」っていうにはあまりに家庭的なイメージで、むしろ「繁殖する作曲家」って気もするし。恋を題材とした曲は無数にあり、色恋沙汰と無縁の作曲家というのもほとんどいないわけだから、どんな可能性でもありそう。期待して待つしか。