●以前、なにかの映像でメトロポリタン・オペラ総裁のピーター・ゲルブが語っていたことなのだが、ゲルブが総裁に就任したとき、METの観客の平均年齢は65歳だったという。それで、5年前はどうだったかと調べてみると平均年齢は60歳だったとか。「さあ、このまま放っておいたらどうなるか、明らかだよね?」。そんな口調で、ゲルブはなぜMETライブビューイングのような新しいチャレンジが必要なのかを語っていた。
●で、それとは別に一般論としてなんだけど、シニア層が多いイベントでお客の平均年齢を語るときに、算術平均を使うのは要注意だと思う。たとえば、7人のお客さんがいたとしよう。
73歳、64歳、70歳、67歳、61歳、60歳、20歳。
ベテラン勢に交じって、一人だけ20歳の若者がいる。きっとマニアだ。算術平均でお客さんの年齢を算出すると、59歳ということになる。しかし、この客層で平均年齢59歳といわれても納得できないだろう。だって平均の59歳より若いのは、20歳の若者ただ一人なんだから。
●こういうときは中央値を出すと感覚的にぴったりくる。中央値、つまり7人中4番目の年齢の人は64歳。そう、そんな感じのイベントだ、これは。シニア層中心の客層だと、下のほうに極端にはずれた年齢の人はときどきいるが(20代とか10代とか)、上のほうに極端にはずれた年齢の人(110歳の人とか)というのはまずいないためこうなる。
●ピーター・ゲルブが語っていたのが算術平均なのか中央値なのかは知らない。