March 3, 2015

アンドレアス・オッテンザマー&ホセ・ガヤルド

●遡って先週26日はアンドレアス・オッテンザマーのクラリネット(トッパンホール)。父エルンストと兄ダニエルがウィーン・フィルの首席クラリネット奏者、そしてアンドレアスは2011年に22歳の若さでベルリン・フィルの首席クラリネット奏者に就任したという名門一家。うまくて、若くて、知的で、イケメン。まぶしすぎる。休憩時の男性トイレががらがら。
●ウェーバーの大協奏的二重奏曲、ブラームスのクラリネット・ソナタ第1番といった独墺系レパートリーに、アルゼンチン出身のホセ・ガヤルドがピアノということで、ピアソラ、ガルデル、アンヘル・ビジョルドといったタンゴの作曲家たちも加わった多彩なプログラム。鮮烈。そして楽しい。さらにハンガリーのレオ・ヴェイネルの作品も。レオ・ヴェイネルの「ペレグの新兵募集の踊り」という曲があって、原題を見たら「ヴェルブンク」を訳出して「新兵募集の踊り」としてあった。もともと酒場で新兵を募るための音楽と踊りがヴェルブンク(チャールダーシュの原型)。通じない言葉だから、こうして日本語化するのも一手なのか。
●プログラムの前半の終わりにアンヘル・ビジョルドの「エル・チョクロ」が置かれていて、この一曲だけピアノのソロとなっていた。ピアノのソロが一曲入るのはいいとして、それを前半の終わりに置くものだろうか?……と思っていたら、ここで予想外の寸劇が始まった。ピアノのホセ・ガヤルドが演奏しはじめると、途中で袖からオッテンザマーがそっと登場してクラリネットで参加する。ガヤルドが驚いて「おいおい、これはピアノだけの曲だぞ」と小芝居が始まる。「わかったよ」とオッテンザマーがひっこんで、ガヤルドがもう一度演奏を始めると、またオッテンザマーが袖からそっとあらわれる。今度はクラリネットを持っていない。そのまま背後からピアニストに忍び寄って……なんと、ピアノの椅子に座って連弾になった。笑。実はピアノとチェロも相当な腕前なんだとか。どこまで優秀なんすか、この人は。

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