●12日は調布音楽祭2015の記者会見へ(調布市文化会館たづくり)。6月25日から28日にかけて調布市グリーンホール他での開催。鈴木優人エクゼクティブ・プロデューサーのもと、本格的なクラシックの音楽祭としてスタートして3年目を迎える。監修はバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の鈴木雅明音楽監督。協力に桐朋学園大学。鈴木父子は調布在住ということで、地元調布に密着した音楽祭ながら、BCJをはじめとするトップレベルのアーティスト陣の出演を実現している。音楽祭のコンセプトは3つ。「バッハの演奏」「アートとの連携」「次世代への継承」。本格的な公演のほかにキッズ向け公演や、無料で楽しめるミュージックカフェなどもあって、手作り感とクォリティの高さが共存しているのが特色だろう。
●で、今年のラインナップだが、目を引くのはプレトニョフ指揮ロシア・ナショナル管弦楽団が参加すること。一見、調布音楽祭らしくない人選だし、すぐそばの都心では年がら年中世界的巨匠の公演は開かれているわけでなにも調布でなくても……と戸惑ったが、プログラムはこの音楽祭のための独自のものになっていて、プレトニョフの弾き振りによるモーツァルトのピアノ協奏曲第24番と、チャイコフスキーの交響曲第5番。「鍵盤楽器奏者が作ったオーケストラであるなどBCJと共通点が多い」というロシア・ナショナル管弦楽団、結成もBCJと同じく1990年。プレトニョフの弾き振りに、モダンオケというパラレルな世界でのBCJとの類似性を見出すことができるのかも。
●例年フィナーレ公演を飾るBCJは、ヴィヴァルディの「四季」を演奏する。BCJの「四季」は珍しいのでは。ヴィヴァルディにバッハ、マルチェッロ、ヘンデルを加えた「協奏曲の花火大会のような」(鈴木優人プロデューサー)プログラム。「四季」は4曲をそれぞれ別のヴァイオリニストが独奏を務めるという趣向で、高田あずみ、寺神戸亮、若松夏美といったおなじみのメンバーに加えて、活躍中の気鋭、白井圭が参加する。白井圭さんはバロック・ヴァイオリンを若松夏美さんに師事していて、モダンもバロックも同じように弾けるのだとか。
●大バッハをはじめバッハ・ファミリーの音楽が演奏される鈴木雅明&優人の「二代」チェンバロ・リサイタルや、調布の名刹である深大寺の本堂で演奏される寺神戸亮のバッハ無伴奏など、バッハ色も十分。音楽祭として、昨年より一回り成長した感が伝わってきた。
●会見資料の登壇者欄に「鈴木雅明監修(ビデオメッセージ)」とあったので、録画が再生されるのかと思っていたら、Skypeで日米間をつないでのリアルタイム登壇だった。その手があったとは。
March 13, 2015