●この季節になると、武蔵野陸上競技場は一瞬だけ「花見もできるサッカー・スタジアム」になる。というか、サッカー観戦者より花見客のほうが多いかもしれないのだが。公式入場者数800人台と聞いて「健闘してるじゃないか」と思ってしまう、JFL(日本フットボールリーグ)の横河武蔵野FC対ヴァンラーレ八戸を観戦。
●JFLってなに?って話は耳タコかもしれないが、それでも説明すると、日本のサッカーにはトップリーグのJ1があって、その下にJ2がある。で、少し前までその下にJFLがあったわけだが、最近J3というリーグができたので、実質的にJFLは4部リーグということになった。かつてはJFLのなかにも上を目指すプロ志向のクラブと、J2昇格を目指さないアマチュア志向のクラブが混在していて、その同床異夢が多くの困難を生み出すと同時におもしろさの源でもあったのだが、それが現在では前者はJ3へ、後者はJFLへと袂を分かつ形になった。
●で、プロ志向のクラブが抜けたんだから、JFLではさぞ横河武蔵野FCは強いんじゃないかと思うじゃないすか。アマチュアチームながら、一頃はプロ予備軍をしのぐ順位で「門番」として立ちはだかっていたんだから。しかし、この日の試合を見ると、とてもそんな状況ではないことを思い知らされる。ヴァンラーレ八戸? どこそれ、八戸って青森の? そうかずいぶん遠くのチームなんだなあ……とか思っていたら、八戸のほうがぜんぜん強いじゃないの。順位も上だし、フィジカルでも個人技でも戦術的な練度でもすべて差を感じたゲーム。0対2。もともと組織的な守備力に強みがあったチームのはずなんだけど、それも過去の話。選手はどんどん入れ替わる一方、何年も残っている選手もいる。多くは大卒選手で、平均年齢25歳。JFLではもともと30代の選手というのはあまり見かけず、大学を出て数年という選手が多いイメージ。アマチュアなので、ほかに仕事が必要だから……。ここから上位リーグにあがっていく選手はきわめて少なく、下位リーグに移っていく選手は珍しくない。ピラミッド構造ならどんな世界でもそうなるわけだけど。
●J3の誕生がJFLにどことなく冷めた空気をもたらしたのでなければいいのだが、と久々の観戦に思う。
April 6, 2015