●イングランドのプレミアリーグは、大方の予想通り、チェルシーが早々に優勝を決めてしまった。かなり前の段階から「今季はチェルシーで決まり」という雰囲気が漂っていたものの、ワタシは「いやいや、これくらいの勝点差など、ほんのささいなことがきっかけで失われてしまうことなどいくらでもある。サッカーは安易な予測を裏切るものだ」と思っていたのだが、裏切りも波乱もなく、チェルシーがずーっと首位を守り続けた。モウリーニョ監督、恐るべし。
●実はリーグ終盤の試合内容はかなりスペクタクルに乏しかった。毎試合、驚くほど似たような展開の試合が続く。わずかなチャンスに1ゴールを奪うと、あとはリスクを冒さずに慎重に守る。ポゼッションが低くても意に介さない。そして1対0で勝つ。あるいはアウェイのアーセナル戦のように0対0で試合を終わらせる(そしてモウリーニョはガッツポーズを決める)。まるで詰将棋みたいなサッカー。
●リーグ前半に比べるとかなりペースダウンしたのは、モウリーニョがずっと同じ選手を使い続けたからという説がある。先発はもちろん、途中交代の選手まで非常に限られていて、ローテーションを用いない。それで選手が疲弊しているんじゃないか、と。ポイントゲッターのジエゴ・コスタと、控えストライカーのレミの両方が戦線離脱してしまい、終盤は37歳のドログバがトップに入っていた。全盛期にはほど遠い動きだが、献身的に奮闘していた。
●選手を固定して使うのがいいのか、ローテーションを組んだほうがいいのか。これはだれにもわからない問いだろう。ただ、先日ご紹介した書籍「サッカー データ革命 ロングボールは時代遅れか」にもあったように、チーム成績により強い影響を与えるのは、「最高の選手の質」ではなく「最低の選手の質」だとすると、ローテーションを組んで大勢の選手を使うのは不利なような気もする。モウリーニョの戦略もそのあたりの統計にもとづいているのではないかと想像しているんだけど、どうなんすかね。
May 14, 2015