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May 26, 2015

ウルバンスキ&東響、チパンゴ・コンソート~杉田せつ子ソロ・ヴァイオリン

●23日は初台へ。14時からオペラシティでクシシュトフ・ウルバンスキ指揮東京交響楽団。ルトスワフスキの交響曲第4番、ドヴォルザークのチェロ協奏曲(タチアナ・ヴァシリエヴァ)、スメタナの「わが祖国」より「高い城」「モルダウ」「シャールカ」の3曲。前半にルトスワフスキが入っていて「お得感」のある長めのプログラム。より楽しめたのは後半のほう。まったく土臭くなく、しかも新鮮な「わが祖国」。この曲って、こんなにカッコよかったんだ、と。語り口は豊かだけど、響きのバランスは慎重に制御され、節度を失わない。
●同日17時は、同じ建物を平行移動して近江楽堂へ。これまでになんどか足を運んでいるチパンゴ・コンソートの公演、といっても、この日の出演者はひとりだけ。杉田せつ子さんのソロでバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番ト短調、第3番ハ長調、パルティータ第2番ニ短調。新作バロック・ヴァイオリンのお披露目にバッハの聖典に挑むというシチュエーションもあってか、格別に厳粛な雰囲気が近江楽堂の小ぢんまりとした空間をいっぱいに満たして、深い感銘を残した。バッハの無伴奏は尋常ではない音楽だと改めて実感。作品に内在するエネルギーがあまりに大きく、奏者は祭司となり、公演は儀式となる。長大なフーガやシャコンヌには人も楽器も空気も息切れしそうになる。まるで天まで届く高塔を見上げるかのよう。