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June 5, 2015

トーマス・ヘンゲルブロック指揮北ドイツ放送交響楽団の「巨人」他

●4日はトーマス・ヘンゲルブロック指揮北ドイツ放送交響楽団へ(サントリーホール)。メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ホ短調(アラベラ・美歩・シュタインバッハー)、マーラーの交響曲第1番ニ長調「巨人」(1893年ハンブルク稿)というプログラム。シュタインバッハーのソロは渋みのある音色で、終楽章の躍動感が見事。アンコールが予想外で、プロコフィエフの無伴奏ヴァイオリン・ソナタから第1楽章。得した気分。
●で、マーラーの「巨人」ハンブルク稿。ハンブルク稿といえば、今年1月に山田和樹&日フィルでも聴いているわけだけど、最終稿との最大の違いは第2楽章に後にカットされた「花の章」が入って、5楽章構成になること。シンメトリックな構成感が生まれると同時に、自然賛歌的な楽想がいっそう際立つ。オーケストレーションにも違いがあるが、おそらくそれ以上にヘンゲルブロックが細部に至るまでさまざまに添えたニュアンスによって、鮮度の高い「巨人」になっていた。ストーリーテリングの巧みさも感じる。この段階では各楽章に標題が残っているので、これもおもしろい。第3楽章(通常の第2楽章)までは第1部「青春の日々より」。第4楽章「座礁!」(カロ風の葬送行進曲)と第5楽章「地獄から」が第2部「人間喜劇」。最終形からするとかなり饒舌。アンコールにワーグナーの「ローエングリン」第3幕への前奏曲。スペクタクルよりも抒情性を感じさせる、まろやかな響き。
●客席は予想以上に盛大にわきあがって、最後はヘンゲルブロックのソロ・カーテンコールに。