June 15, 2015

ミロ・クァルテットのベートーヴェン・サイクル、ポーガ&N響

●11日はサントリーホール・ブルーローズでミロ・クァルテットのベートーヴェン・サイクルII。毎年恒例となったサントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデンのベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲シリーズの一夜で、曲目はラズモフスキー四重奏曲の3曲。切れ味鋭く、エネルギッシュ、鮮度と明度を最大限に振って、隅から隅まで光が当てられたような輝かしさ。すごい、クァルテットってこんな鮮烈な音が出せるんだ、的な感動あり。並のクァルテットを聴くのが嫌になるくらいの憂鬱をもたらしてくれた。本当は後期作品も聴きたかったけど、日程の都合で今年はこの一日のみ。惜しすぎる。
●12日はアンドリス・ポーガ指揮N響へ(NHKホール)。ソリストにホルンのバボラーク。モーツァルトのホルン協奏曲第1番(レヴィン補筆完成版)とR・シュトラウスのホルン協奏曲第1番の2曲を吹いてくれるのがうれしい。モーツァルトのホルン協奏曲第1番は、いつのまにか作曲家最期の年に書かれた未完の作品だということが定説になっていて、K.412というケッヘル番号のみならず、K6386bというケッヘル目録第6版の番号も実態にそぐわなくなっている。いつか大改訂して600番台の番号が添えられるんだろうか。それにしても、この期に及んでモーツァルトはなぜ60歳近くになったロイトゲープのためにホルン協奏曲を書こうと考えたんだろう。この時期、すさまじい量の仕事を抱えていたはずだが……。
●バボラークのソロは今回もほれぼれとするほど滑らか、まろやか。あまりに余裕綽々で、憎らしいほど。前回だったか、長大なグリエールのホルン協奏曲を聴いたときのような強烈さはないにせよ。後半はラフマニノフの交響的舞曲。痛快。最後はフライング拍手が出たが気持ちはわかる、というかそういう曲だと思う。

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