●18日は尾高忠明指揮N響へ(サントリーホール)。チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番(小山実稚恵)とラフマニノフの交響曲第1番というロシア音楽プロ。同じ「第1番」でも前者は初演前に酷評されながらも生前に高い人気を獲得した作品、後者はグラズノフ指揮による有名な初演の大失敗により封印されてしまった作品。消えたラフマニノフの交響曲第1番は、作曲者の死後に発見されたパート譜から復元されたのだとか。生で聴くのはたぶん、初めて。録音でもいつ聴いたのか記憶がないくらいなので、すごく新鮮な気分で向き合えた。オーケストラは気合十分、重低音がすごい。
●で、聴いてみると、期待以上のおもしろさ。粗削りではあるけど、ラフマニノフの管弦楽曲のルーツはここにあるんだなと実感できる。この曲が交響曲第2番、第3番へつながっているというよりは、むしろ晩年の交響的舞曲につながっている。「怒りの日」の引用も共通するし、終楽章の祝祭性も交響的舞曲をほうふつとさせるし、銅鑼が臆面もなく鳴り響く感じとかも似てる。しかも第1楽章の主題が交響的舞曲の第1楽章で引用される。最初の管弦楽曲でやりたかったことが、最後の管弦楽曲でより成熟した筆によって再現されているといった印象。
●で、今月のN響はアンドリス・ポーガ指揮のCプロでその交響的舞曲が演奏されていて、意図的にそうなっているとしか思えないのだが、同一月の異なる指揮者の公演でプログラムに関連を持たせるなんていうことができるものなんだろうか。
June 19, 2015